2018年11月03日

社員旅行~別府・湯布院

10月20日、21日に社員旅行に行ってきましたicon67
一泊二日で別府・湯布院のコースです

博多駅からソニックicon182に乗り、別府へGOicon59

まずは腹ごしらえから
ということで、駅前の「とよ常」さんで天丼の昼食icon28です
すごいボリュームですね



そして、別府の定番「地獄めぐり」へicon12

小さい頃(何十年前face03)に行ったことがありますが
なんだかオシャレになっているような・・・
きっちり全ての「地獄」をめぐって、
足はパンパンですface16

宿についたら、まずは温泉ですね
近くに足湯のスポットがあったので
一日歩き回った足を癒します・・・最高icon14icon14

さらに、宿の温泉で癒されたあとは
夕食ですね~icon142
新鮮なヒラメのお刺身、別府名物の「地獄蒸し」、豊後牛のステーキなどなど・・・
お腹いっぱいですface06
お昼に消費したカロリーは取り返しました(笑)
                                       2日目は湯布院へ。

ゆっくりバスで移動して
湯の坪街道を歩き、金鱗湖へ。
少し紅葉icon114している景色を見ると
なんだか穏やかな気持ちになりますね。

博多への帰路は、湯布院の森号icon44」です。
一度乗ってみたかったんです
観光列車、いいですねicon97

予約していた高級弁当「飛翔」を食べながら
景色を楽しむのも、旅行の醍醐味ですicon194

天気も良くて、最高な旅行になりましたicon59








  


Posted by akroum at 08:23Comments(0)スタッフ日記

2018年10月19日

「コンセプト」で会社の問題点を洗い出す


 企業内コミュニケーションの実態調査によると、コミュニケーション不足を感じているトップは「部署を超えた社員同士」です。そして、今の日本企業の一般的な組織の在り方は部署制です。
 
 A社は防犯・防災グッズ、セキュリティ用品の販売や取り付け工事などを行なう会社です。
 その守備範囲は広く、防犯カメラや防犯アラーム、各種カギはもちろんのこと、PC上のデータを守るための各種機器の開発・販売や暗号化対策にまで及びます。
 もともとはカギの小売店として60年前にスタートしたのですが、その後セキュリティ全般にまで職域を広げていき、現在に至っています。
 従業員は200名を超えるまでに成長しています。

 このA社に近年、代替わりがあり、社長は創業家一族が務めており、創業者からみると孫にあたる人物が新たにA社の代表となったのです。
 新たに代表となったA社長は、実はA社の経営に歯がゆさを感じていました。
 それは、A社は営業部門の中でA、Bの部署に分かれていて、全体としては利益を上げています。しかし、実はB部署では四期連続赤字で、他部署の黒字で補填されているというのが実情です。
 そうした事情は、直前まで取締役事業部長を務めていましたから、もちろん知っていました。しかし、なぜそうなっているかまでは把握していなかったのです。
 ですから、A社長が何から始めたかというと、どうして赤字がでているか、B部署の徹底的な実態調査です。
 そのための人選はすでにできていました。直属の部下であった3人と、他の部門ではあったけれど見込みがあると以前から目をつけていた2人です。

 選抜メンバーがこの仕事を引き受けたのは、A社長が最後に付け加えた言葉があったからでした。
「何があっても最後までサポートするから思い切ってやってほしい」。こうしてA社長の下、赤字解消チームが発足したのです。
 しかし、ここからが大変でした。チームは早速、週末を利用して2泊3日の合宿を張りました。もちろん、A社長も参加しています。改めてA社長の決意が語られます。「聖域はない」と。
 ここで、A社の事業の強みと弱みを細大漏らさず挙げていこうとの意図です。ただ、作業をやりやすくするため、A社長が三つの項目を並べました。
 それが①経常業務(開発、生産、マーケティング、販売、サービスなど)、②戦略(他社を凌駕するためのシナリオ)、③組織(組織の在り方、社員の士気、リーダーシップなど)です。
 B部署に限らず、A社の強み、弱みをすべて明るみに出そうというのがA社長の狙いでした。
 チームは300を超える強みと弱みを挙げたといいます。夕食の後は、これらから「何を引き出すか」の作業が始まりました。しかし、その作業は難航しました。さまざまな部門から集まっているメンバーであるため、それぞれにものの見方が違うために、言い分も違ってくるからです。
 A社長には、このやり取りこそがA社の一部署が赤字を垂れ流している原因を如実に表しているように見えました。
 A社には「すべての社員が参照すべき拠り所」がなかったのです。

 A社長は会社としての「コンセプト」を改めて定めることを提案しました。何を大切にして商売をするかということを見直してみようということです。
 それは「顧客目線になる」というものでした。これを採用してみると、300超の強み、弱みが一つに収斂されていったのです。
 要するに、今のA社は、部門ごとに仕事が分かれており、自分たちの仕事には精通していますが、全体の流れに責任はないから、口をはさみにくい。そして興味もありませんでした。
 部門ごとに優先度が違いますから、何を決めるにしても時間がかかり、ツケを払わされるのは顧客、一番大事だったのは自分の部門の立場を守ることだったからです。
 A社がすべきは自分たちの利益のためではなく、顧客の利益のために組織を作り直すことだと結論付けられました。

 合宿の残りの時間を費やして、その素案が形作られました。これまでの機能別の部門(開発部、生産部、営業部など)ではなく、商品群ごとに部門(一チームに開発部・生産部・営業部全て揃っている)を形成するというのがそれです。

 チームは赤字の原因を徹底究明し、それを解消するための組織改編を提唱、さらに全社員を納得させなければいけません。徹夜続きでチームが上程した赤字の実態は、A社長が想定していたレベルを超えていました。
 四期連続の赤字部署は、実は八期前から赤字で、それを見えなくしていたのは決算マジックだったという実情です。
 A社長にとっては耳の痛い報告です。チームも言うのにかなりの勇気を必要としたそうです。しかし、その実情をA社長は自分の責任として受け止めたそうです。
 その後の3ヵ月で組織改編を成し遂げました。その骨子となったのが、機能別の部門割から、商品別の部門割への変更です。
 これによって、開発、生産、営業の各部門がひとつの部門にまとめられました。もちろん強い反発はありましたが、赤字の原因を論理的に突きつけられると、言い募っていたのは自分たちの都合ばかりであることを反発者も認めざるを得なかったのです。
 A社のこうした変革に異を唱え、辞めていった人もいます。しかし、それは少数派であったようです。

 A社が今回、多大な犠牲を払って断行したのは、機能別から商品別への組織改編です。 「顧客のため」になるとの判断からです。
 それは簡単ではありません。可能となった理由は、トップの絶対的なサポートと全社員が現実を直視する覚悟によってです。
 これはあくまでA社の事例ですが、会社の大小、変革の対象にかかわらず、何かを変えようとするなら共通します。今の組織が最適かを常に疑うことに進化の機縁があるのではないでしょうか。

  


Posted by akroum at 18:10Comments(0)経営

2018年09月20日

正当な評価の効用

 新入社員の退職率は753とよく言われます。3年以内に退職する割合が、中卒の場合には7割、高卒で5割、大卒では3割ということです。採用、再雇用にかかるコストはかなりのものですから、経営者としては、その理由をぜひ知っておきたいところです。
 退職理由としては職場の人間関係によるものが上位に上げられています。いかに人間関係が大事かが分かります。他にもいろいろな理由がありますが、ここでは離職理由の1つ「昇進・評価が不満だった」に注目したいと思います。
 社員の採用にはかなりのコストが伴うものです。そのリスクを避けるために、社員を正当に評価すること、その表現方法、そしてそれがどんな効果をもたらすかを考えてみます。

 A社はアウトドア商品のメーカーです。斬新なデザインと消費者の小さなニーズにも細やかに応えた商品作りで、これまで一定の支持を得るのに成功してきました。
 ただ近年は、かつての売上に届かない年が続いており、一時期の勢いが失われつつあることは明らかでした。
 売上の減少はもちろん会社にとって深刻な事態ではありましたが、一方で、A社には他にも放置しておけない問題があったのです。それは、近年の「離職率の高さ」でした。

 この危機に際して、A社長が採った方策というのが新たな総務部長の獲得でした。
 もちろん、そこには前任者の定年というタイミングもありました。しかし、内部の者をスライドさせるのではなく、外部から新たに人材を迎えるというのがA社長の選択だったわけです。停滞ムードを破りたいとの想いがあったのだと思われます。
 多くの応募者の中から選ばれたのがBさんでした。Bさんは技術者としてだけでなく、管理者としての実績とA社への熱い想いがBさん獲得の決め手でした。
 さて出社初日、意気揚々とA社の門をくぐったBさん、自分の思い描いていたA社のイメージとの違いに驚くことになります。
 何しろ「社員の存在感がない」というのが第一印象でした。それぞれが仕事に取り組んでいるようですが、「それなり」という感じです。社員同士の会話も少ないようです。


 BさんにはA社の雰囲気が予想外でした。実態をつかむためにBさんは社内の様子を2週間ほど観察したそうです。
 すると、社員の仕事をきちんと評価する儀式は一切見られませんでした。これはどうしたことかと、よく言葉を交わすようになった部下に尋ねてみると、「二代目になってからこうなんです」と話したといいます。
 Bさんが知っていたA社の社風は先代のものだったというわけです。
 実際、現社長が経営を受けついでからしばらくは、社員評価も行われていたようです。
 A社長は先代以上の売上を上げることばかりに躍起になり、適切な社員評価は疎かになり、やがて部下任せとなり、ついにはその習慣は形骸化していったようなのです。
 これでBさんは自分がすべきことを明確に自覚しました。かってのA社の美風を取り戻すことです。

 手始めは、急に会社を休まざるを得なくなった社員のフォローをした同僚の働きをみんなの前で称賛することでした。
 同僚の事情を慮り、自分の時間を削ってまで余計に働いた社員の思いやり、献身を「正当に」評価したのです。
 当の本人も「どうして」という反応だったそうです。ですが、Bさんはそんなことはお構いなしです。「実績」がそんなの気にするなと言っていました。その後も、Bさんはこれはと思った社員をみんなの前で称賛していったといいます。
 「正当に」評価された社員の反応は明瞭でした。楽しそうに仕事をしているのです。
 決め手は、これまでの不都合を解決する画期的なアイディアを提案した社員Cさんに対しての称賛でした。
 Bさんは社内プレゼンの場で、その提案を聞いたとき、「特許級だ」と即座に反応しました。
 事実、そうだったからです。同席のA社長も同じ反応です。

 実はA社では、Bさんの入社時もかっての報奨制度がかろうじて生きていたそうです。
 しかし、その実態というのが、例えば勤続10年を感謝する記念品が、勤続13年目の社員に届いたりしていたというのです。「勤続10年ありがとう」のメッセージ付きで。しかも郵便で。記念品を受け取った社員の心中はいかばかりだったことでしょう。
 A社から社員が去っていくのに理由がなかったわけではないのです。

 仕事に対する正当な評価ほど社員を喜ばせる報酬はありません。その社員の存在意義に関わるからです。ただその分だけ、不当な評価、あるいは成果が無視されることほど社員を悲しませることもないのです。
 上司や経営者は、部下の仕事をちゃんと評価する、認める、褒めることの重要性を再度認識すべきではないでしょうか。
 きちんと評価され、認められ、褒められれば、会社に行くのが楽しくなります。そんな社員が会社を辞めるでしょうか。彼らはきっと会社に貢献しようと全精力を傾けるはずです。必ずある、褒めるべき社員の成果を見直してみてはどうでしょうか。

  


Posted by akroum at 08:49Comments(0)人事・労務

2018年08月30日

H30年暑気払い

明日で8月も終わりです。
平成最後の夏icon01も、残り少なくなってきました。

7月までの繁忙期が終わり、業務が一段落したところで、
ちょっと遅い暑気払いに、焼き肉icon28に行きました~

やっぱり夏は、
ビールと焼き肉、最高ですねicon151

いつもより、少しお高目のお肉を
みんなでワイワイ言いながら食べると
とっても美味しいですね~~~face03

デザートのソフトクリームicon121も美味しかった

焼き肉のあとは、カラオケicon26
みんなの美声に酔いしれました(笑)





  


Posted by akroum at 18:42Comments(0)スタッフ日記

2018年08月20日

会社におけるコミュニケーション

 人間関係において、ちょっとした出来事から仲良くなったり、その逆に険悪になったりということはよくあることです。
 その関係をより深めるのも、あるいは修復するのも、その後のコミュニケーションにかかっています。

 A社の創業は今から3年前ですので、まだ若い会社と言えるでしょう。
 若いだけのことあって、社員も多くはありません。A社長の下に、5名の若者が集っています。
 A社の雰囲気は良かったようです。社内に笑いは絶えないし、業務の滞りもありません。ところが、あることをきっかけにその歯車が狂い始めたようです。中途社員B君の入社です。
 B君はまず、梱包・発送作業を教えられました。返事も良く、熱心に仕事を覚えようとしているのが伝わってきます。しかし、2、3日すると、B君の態度に微妙な変化が生じてきたといいます。先輩Cさんの言葉に首を傾げるようになったのです。
 どうやらB君は、仕事を教えてくれる先輩社員の言葉に納得していないようです。


 A社において、各人の役割分担はあったにしろ、小さな会社ですから、担当が忙しければ当然のように他の業務も兼務します。
 新たに受注・在庫管理をB君が手伝った時のことです。
 今度は最初から、懐疑的な態度で先輩社員Dさんに接するB君の姿がそこにありました。
 それをDさんは敏感に察知します。「どうした」と水を向けてみますが、B君は「いえ」と言い淀んではっきりしません。
 デスクワークに戻ったDさんは、机を並べるCさんに声を掛けたそうです。「B君ってどうだ」。「腹に一物あるようで、よく分からない」と、Dさんが期待した答えが返ってきたようです。
 こうしたやり取りがあって以来、業務中も、飲み会の場でも、二人はB君に対してどこかよそよそしくなっていきました。その空気はいつしか、社内全体に伝播していったのです。

 しかし、こうした空気はやはり疲れます。先輩社員から折れて、B君に「仕事はどうだ」などと言葉を投げてみますが、B君は曖昧に笑うばかりです。
 いよいよ手に余ると判断したCさん、Dさん両名は、A社長に願い出て、飲みに出かけたのです。その場で、話題はB君に及び、彼の仕事ぶりを両名はかいつまんでA社長に言い募ったそうです。

 両名の話では、B君が仕事に何らかの疑問を持っているのは明らかとA社長は判断しました。
 そこでA社長は、梱包作業に取り組むB君に対してこう語りかけてみたのです。
 「B君、今のやり方をもっと良くできないかな」
 この言葉にB君は一瞬、意外な表情を見せたけれど、これまでのように曖昧な笑いでごまかすことはしませんでした。
 2日後の全員が集まる会議において、梱包作業の改善を頼んだ経緯と、その回答をB君に求めたのです。
 「段ボールの形状を変えてみたらどうでしょう」これがB君の提案でした。

 A社ではこれまで、いわゆるミカン箱と呼ばれる形状の段ボールで梱包を行ってきました。これをミとフタの分かれる形状のものに変えようというのです。
 A社の扱う商品は一つひとつ形状が定まっていません。ミカン箱に収まり切れない商品は、段ボールの縁をわざわざ切り取って、段ボールを二つ、三つ合体させるようにして梱包していました。
 最初からミとフタの分かれたものに板段ボールを組み合わせたら、作業は効率化するし、コストも軽減できます。全員で検討した結果、採用しない理由は何ら見当たりませんでした。みんなが納得しているようです。即時、ミカン箱との併用が決まったのです。
 ここで初めて、A社長は今回の会議の意図を明らかにしました。
 我が社には、いつのまにか「どうして」がなくなってしまっていたように思う。
 それは改善の余地、つまりは会社がより良くなっていくチャンスを自ら放棄していることだとA社長は言います。

 たしかに、B君はA社の業務の改善に役立つアイディアを内に抱えていました。しかしながら、それを率直に表出する雰囲気が社内になくなっていたというのがA社長の見立てです。
 A社長は「たしかにうちは雰囲気がよいが、それは慣れた仕事、いつもの会話の心地良さであって、そこから踏
み出す勇気をいつの間にか失ってしまっていたように思う」と発言しました。そして、これからは一切の疑問を封殺することなく、「どうして」を大事にしていこうと結論付けたのです。


 以降、A社長は自ら、事あるごとに「どうして」を社内で連発しました。それが社員にも伝染していったそうです。
 たとえば、「どうしてこの業務が優先されるのだろう」といった具合ですが、その疑問がA社では社員間で話し合われ、解決策が導かれるようになったといいます。

 社員数が少ない会社だからといって、社内のコミュニケーションの良好さを保証するものではありません。
 そして、飲み会などの場でのコミュニケーションが、人間関係の円滑化に多大な働きがあるのは知っていますが、そればかりに頼ってしまうのはどうでしょう。
 会社におけるコミュニケーションの根本は、「会社をより良くするため」にあるべきです。適切な「どうして」は愚痴や憂さ晴らしとは無縁の存在であると考えます。

  


Posted by akroum at 09:04Comments(0)人事・労務

2018年07月20日

ビジネス社会でもスランプはあり得る

 スポーツの世界でスランプという言葉をよく聞きますが、正確にはどんな状態を指すのでしょうか。ある定義によれば「ある技能・技術の習得過程における成長の一時的停滞」とあります。
 こうした定義を見てみれば、スランプは何もスポーツに限ったことではなく、その範囲は生活全般におよぶことが分かります。
 実際、仕事をしていて「スランプじゃないか」と感じた経験がある方も少なくないのではないかと思います。
 スランプは「一時的」なもので、その後には必ず「成長」があるものです。ただ、そうは分かっていても、本人にしてみればできる限り「早く」スランプからは脱出したいものです。

 個々の社員に目を向けてみると、会社の経営ほどには順調にいっていない者も当然ながらいるようです。それが営業部門に所属する入社10年目のBさんでした。
 これまで営業成績は常にトップクラスだったそうです。そのBさんが人知れずひとり悩んでいたのです。
 Bさんの悩みというのは、「これまでうまくいっていたやり方で仕事を進めているのに、どういうわけか契約が取れない」というものでした。
 契約が取れないこと自体が悩みというよりも、契約が取れない理由が、さっぱり見当がつかないことが悩みの種だったというわけです。
 理由がはっきりしませんから、契約を逃すたび本人は「なんか調子悪いのかな」と思うしかなかったそうです。

 
そんな調子でしたから、段々と外出するよりも会社にいる時間の方が長くなりがちで、上司である営業部長に発破をかけられて見込先へと向かってはみますが、どうにも話が具体的にならないのです。
結局、部長としては「ちょっと疲れているだけだ。しっかり寝れば調子も戻ってくる」というくらいのことしか言えなかったそうです。
 しかし、その後もBさんの調子が上向くことはありませんでした。元気がないわけではないのですが、仕事の結果が一向に出ないのです。

 そんなとき、Bさんはテレビを見ていて偶然思いがけないヒントを得たのです。
 プロゴルフ選手がトーク番組で、スランプについて語っていたのです。
「あの時期、私は焦っていたんだ。朝早くからコースに出て、誰よりも多くボールを打ったと思う。打てば打っただけ、早く立ち直れると思ったんだ」
「でも、それは間違いだったようだ。逆のことをやっていたんだよ。私がやるべきは練習場に戻って練習することだったんだ。つまり、これまでやってきたことを最初から「ゆっくり」やり直すこと。そうやって私は「スランプ」から抜け出たんだね」
 Bさんはこの言葉を力が抜けていく思いで聞いたそうです。

 すなわち、ステージは違っても同じくスランプに陥っているのだと自覚することができたということです。それだったらプロのやり方を真似てみようとその場で決心したそうです。
 まずBさんがやったのは、入社後しばらく付けていた「仕事メモ」を見返すことでした。そこには自分でも別人と思われるような詳細な顧客情報がびっしりと書き込まれていました。
 顧客との打ち合わせの会話も逐語的に記録され、どんな小さな情報も逃すまいとする姿勢がそこにはありました。
 それがBさんの「これまでやってきたこと」であり、これを最初から「ゆっくり」やり直す必要があったのです。


 以来、Bさんは闇雲に見込客を訪れることはやめました。基本的な情報を集めた上で、一つ一つの会社の担当者から丁寧に話を聞き、会社ごとに特有のニーズを正確にくみ取っていったのです。
 仕事に慣れて顧客のニーズを類型化してしまうと、自分には「小さな」ニーズと思えても、相手にとっては「大きな」ニーズであることを見逃してしまうこともあるでしょう。
 ここに気付いてからというもの、Bさんは営業先から声が掛かることが多くなり、受注に至るケースも飛躍的に増えたそうです。


 「何となく仕事がうまくいかない」時期は誰しもあるものです。原因は様々でしょうが、いつの間にか「ズレ」が生じているのではないでしょうか。
 ビジネス社会でもスランプは十分にあり得ます。そんな時、「ゆっくり」行動してみてはいかがでしょう。スランプとは、以前はうまくいっていたからスランプなのです。であれば、当時を振り返るための自省は決して無駄でないはずです。
 それは自分の自信がどこから来ているのかを探ることでもあります。そして自信の源泉を探るには「ゆっくり」自省することも必要かと考えます。   


Posted by akroum at 12:22Comments(0)人事・労務

2018年06月20日

成長が止まったとき

 会社には成長段階に応じて立ちはだかる「特有の壁」があるといいます。すべての会社に当てはまるわけではありませんが、売上高や社員数、あるいは創業年数がある段階に差し掛かると、これまでの右肩上がりの成長がピタリと止んでしまうというのです。

 成長期」には定期採用を急激に伸ばす傾向が見て取れます。となると、創業期の思いを同じくしたメンバーの中に、いきなり思いの共有が不十分な社員が入ってくるということです。このあたりに成長期に特有のジレンマがあり、かつ成長段階に応じて立ちはだかる「特有の壁」の正体があるかもしれません。

 A社は創業8年の若い会社です。
 代表を務めるA社長は大手のIT系企業から独立してA社を立ち上げ、以来ひたすら突っ走ってきました。売上は毎年順調に伸びて、当初は3人だった社員が50名近くにまで増えています。
 ここまでは至って順調だった、はずです。ところが、売上の点からいえば成長を続けてきたA社ですが、ここ1年ばかり、ピタッと伸びが止まってしまったのです。

 最初は景気のせいと単純に思っていたようです。しかし最近は、単純にそればかりとは思えなくなってきているそうです。
 ある日、営業のテコ入れの意味合いで、新規の取引先に同行しました。
 担当者から話を聞いて、実際にシステムの現状を確かめてみるとA社長にはいかにも古く感じられました。しかし、担当者としては今のシステムを大きく変えることに抵抗があるらしいことが話の端々に窺われます。
 慣れもあるのでしょうが、A社長はその会社が自ら成長の機会を放棄しているように感じられて仕方なかったそうです。
 なぜなら、疲弊したシステムに固執しているからです。
 と、このように考えてA社長はハッとしたそうです。
 というのも、A社自体もそうなのではないかと直感したからです。


 A社は3年前、社員が30名を超えた時期に、組織をいじっています。それまではA社長を中心に、全員が営業部員であり、全員が開発部員であり、という感じだったそうです。
 つまりは、誰もが何でもやる体制だったのです。
 しかし、社員が30名を超え売上も安定してくると、さすがにこれでは会社としてお粗末じゃないかということで、A社長を頂点としたピラミッド組織を構築したのです。
 しかし、実際に成長が止まっているのですから、この組織が機能していないのは明らかでした。

 そもそも、A社長が組織の在り方に疑問を感じたのは、売上がある時期を境にピタリと伸びなくなったからです。
 そうなった分かりやすい原因は、A社長が営業に出る機会が少なくなったからです。決して自惚れではなく、実際A社長が会社一番の営業マンだったのです。
 A社長が最前線の営業マンであることをやめたのは、「社員を育てたい」との思いからです。A社長が常々思うのは「自分の代わりができる人材がいれば」ということです。
 それを実現するために、現場に出ることを控え、組織をいじったのです。しかし、「自分の代わり」は実現できなかったのです。
 ということは、組織作りと組織に対する自分の関与の仕方が間違っていたのではないか。 それがA社長の結論でした。

 以前と今の組織でいちばん違うのは、A社長がトップに立ったということでした。
 かってA社長は会社の中心に存在したというイメージです。それを既存の企業社会のあるべき組織図を安易に援用してしまったために現状があると気付いたのです。


 ですから、A社長は自分の思いを社員と共有できる組織を目指そうと考えたそうです。 それは自分が「トップ」に立つ組織ではなく、「中心」にいるような組織でした。
 下ではなく、周りに幹部を配置し、日々自分の思いを伝えたい。それと同じ構図を幹部の階層でも再現することができれば、無駄な行動が減る(生産性が上がる)のではないかと考えたのです。
 即刻、A社長は組織のイメージの再変更と共に、各自がその目的を汲んで行動してもらいたい旨を全社員に伝えたそうです。
 A社長が語った目的というのは、停滞している売上をもう一段上のステージに上げることに他なりません。ただ、それはA社長の会社に対する思いとワンセットでした。
 つまり、A社の経営理念を先に進めたいとの思いです。
 理念を実現するためには売上を上げていかなければなりませんし、売上を上げるためには理念の強い共有が必要というのがA社長の出した答えでした。両方がうまく結びつく組織であるべきとA社長は考えたのです。

 だから自分はトップではなく中心にいることにしたとA社長は説明したのです。
 それは「この会社はこれからだ」との宣言に違いありませんでした。
 実際、A社長はメール、SNS、ツイッター、朝礼、社員への声掛け、飲み会の実施など、コミュニケーションを深めるための手段であれば何でも利用したそうです。こうして、A社は新たな一体感を醸成していったといいます。
 まだまだ満足はできませんが、自分の周りに自分の代わりができて、またその周りに自分の代わりが育っており、各々が「社長だったらどう考えるか」を意識しているとA社長は感じています。
 伝えるという行為は、しつこいと思えるほどやって、ようやく効果がある場合があります。経営理念などはその典型と言えるでしょう。
 そして、「思いを共有する」ために最適な組織の在り方があるはずです。それは企業によってまちまちなのかもしれません。
 その在り方を模索し、決断するのも経営者の仕事だと思われるのです。
  


Posted by akroum at 08:53Comments(0)経営

2018年05月21日

効率化によって生み出されたものは「時間」

 A社は長く続くデフレに対応して、その財務体質を筋肉質にしてスリム化していかざるを得ませんでした。
 さまざまなコスト削減はもちろんのこと、資産として抱えていた不動産を売却したり、事業縮小をしたりといった具合です。
 また、スリム化のなかには「仕事を進めるうえでのムダ」、つまり業務効率を上げるための諸施策も含まれているのです。
 このように全社員挙げての対抗策も、国内消費の低迷とメーカー側のさらなるコストダウン要求による影響は避けがたく、肝心の受注数は伸び悩む一方でした。
 手をこまねいてばかりいたわけではありません。新しい分野への営業活動はもちろん、海外拠点の設置や新規事業への参入も検討はされました。
 しかしながら、今の受注状況では現状を維持するのが精一杯であり、決定的な打開策を見出すには厳しい状況でした。

 そんな手詰まり感がある中、隔週1回の会議でのことです。
 ベテラン社員のGさんから発言がありました。
 ルーティンワークの中で何か見落としているものがあるかもしれません。売上が伸びてない以上、利益を確保するために再度コストを見直してみてはどうでしょうか」
 「もう散々やってきたじゃないか」とH社長は即座に返しました。
 しかしGさんは「本当にそうでしょうか。 確かに業務フローの「見える化」によってある程度は効率化できたとは思います。でも、自分で自分のことをチェックしても客観性に乏しいと思うんです」と引き下がりませんでした。
 A社では業務効率化のためにフローの見直しを定期的に行っていました。しかし、あくまで自分の業務分野においてのみのチェックであったため、客観性に乏しいというのはもっともな指摘ではあります。
 会議では、このまま何も手を打たないよりも、まずはできることから着手してみようということになりました。
 採られた方法は、製造部門の従業員が事務部門の業務を、事務部門の従業員が製造部門の業務を終日観察しチェックすることで客観性を持たせようというものです。


 結果、事務部門では「回覧すべき書類の滞留がある」という問題が指摘されました。
 部品の発注書やメーカーへの納品書・請求書、また社内の各種届出など、回覧・決裁されるべき書類は多数存在します。
 その日中に決裁を受けなければならないものは、適宜回覧されて決裁されていくのですが、そうでないものは他の業務の後回しになってデスクの上に滞留していたのです。
 これでは、滞留していた書類が一気に動き出した時に、その最終決裁者や処理する担当者のところにイレギュラーな負荷が発生してしまいますし、現にそうなっていたようです。
 
 生産ライン部門では以下の問題が指摘されました。すなわち、ある従業員の担当工程において、一続きの作業であるにもかかわらず、間に部品を取るために後ろを振り向く動作がある、というものです。
 一続きの作業のなかで、明らかに異質な動作がそこに入り込むことは、1回ごとのタイムロスは少ないとしても、1年間というロングスパンで考えると膨大な時間になってしまいます。
 事務部門の書類滞留もそうですが、作業者自身はルーティンワークに追われてしまい、なかなか気付きづらい些細な行動が、実は知らないうちに大きなロスを生んでしまっていたようです。
 思わぬところに見落としを発見し、さっそく対応しました。
 事務部門では、それまではある程度書類が溜まってきてから内容をチェックして回覧・決裁してきたものを、1時間おきに必ず書類をチェックして回すように変更しました。
 また、生産ライン部門においては、ラインのレイアウトの再検討がなされ、振り向かなくても部品が取れる位置に部品置き場を変更しました。

 一連の見直し作業を通して、A社ではこれまで見逃していたムダを省くことに成功しました。確かにA社の体質は強化されはしましたが、ここである思いがH社長の脳裏をよぎったのです。
 「今回の効率化は何を目的にしていたのか」ということです。
 それは、将来さらに受注量が減ってしまう事態に備えるためでしょうか。その意味合いもあるかもしれません。
 では、今回の効率化で吸収できないほど受注が減ったら。 またリストラで対応するなら、これまでと何一つ変わりません。
 そこでH社長は「結果」に着目してみたそうです。効率化によって生み出されたものは「時間」であることは明確でした。ここに至って「目的」もはっきり見えました。それは
「創造した時間」をどう使うかということだったのです。
 「なくて七癖」と言いますから、業務プロセス改善のために第三者の視点を導入するのは効果的です。

 改善に終わりはないという態度で取り組めば、きっと何かが見えてくるはずです。ただ、気をつけたいのは、効率化のための効率化にしないことではないでしょうか。
 業務の効率化というのは、即利益につながるものではありません。しかし、お金で買うことのできない「時間」を手に入れることができます。ですから問題は、その時間を何に充てるかという目的意識をもつことなのではないでしょうか。
  


Posted by akroum at 17:24Comments(0)経営

2018年04月24日

自分の殻は自分でしか破れない

 社員の成長なくして、会社の成長はあり得ません。「人が企業の最も大きな財産」と言われる所以はここにあると思います。
 社員の成長は一朝一夕にはいきません。それを成し遂げるため、上司はいろいろと苦労しているわけです。

 A社は社内研修の開発から実施まで一連の流れを一貫して請け負う会社です。これまでは顧客ごとにニーズの把握を徹底し、各社に最適の研修を提供してきました。
 この姿勢が評価され、また効果も上がっていたため、着実に売上を伸ばしてきたようです。しかし、事後のアンケート調査によると、「もっと一般化されたものでいいから、料金の安い研修コースも用意してほしい」との声が最近多くなってきたのです。
 そこでA社では、研修テーマをパターン化して、会社ごとに微調整するやり方を検討することにしたのです。これまでのものが顧客の体に寸分の狂いもない一着ごとのオーダーメイドだとしたら、これはパターンオーダーと言えるものです。

 この研修の開発のプロジェクトリーダーにBさんが抜擢されました。
 その指示を受けたBさんは正直戸惑ってしまったそうです。期待されるのは率直に嬉しかったのですが、果たして自分にその大役が果たせるだろうかと、同時に不安が込み上げてきたのです。
 実際の反応も、果たしてその通りでした。それでもA社長はこの仕事をBさんに任せようと決めていたそうです。なぜなら、いまのBさんにはこの仕事が必要だからということに他なりません。
 Bさんの仕事ぶりは最初こそ危なっかしいものだったようです。しかし、日が経つにつれて、その姿は安心して見ていられるものに変わっていきました。
 個々のスタッフの適性を把握し、適材適所に仕事を割り振っています。チームの連絡も行き届いているようですし、プロジェクトのミッションをみんなが十分に共有していることが傍からも分かります。
 「背伸びが必要な仕事」に自分の身の丈が追いついてきたということなのでしょう。

 そうして、3カ月の月日を費やして完成したプログラムはA社長の満足のいくものでした。そして、A社長にとっては、それ以上にBさんの成長ぶりが満足のいくものだったといいます。
 A社長はこれまで、自身も「自分の身の丈を超えた仕事」に何度も直面してきました。
 資金面でも、顧客からの要求の高さでも、はるかに自分のキャパシティを超えていると思われる場面が何度もあったそうです。
 今度ばかりは無理か、と一瞬は思うのですが、そのたびに必死に立ち向かったのです。すると、何とかなるものです。そして、何とかなってみると、自分が一回り大きくなっていることを実感するのです。
 A社長は、どこまでも成長は自分でするものだと考えています。周りの者ができるのは、その環境やきっかけを与えてあげることだけだそうです。だからそうした環境やきっかけを与えることも、経営者の仕事だと考えているのです。

 「自分の殻を破る」経験を早いうちに一度済ませている人も少なくないはずです。一方で、そうした経験をしないまま社会人になっている人も存在することは間違いありません。いわゆる「ゆとり世代」では、そうした傾向が強いのかもしれません。
 ですから、A社長が言う「部下が育つ環境ときっかけを作るのも経営者の仕事」というのも、かってよりも比重が高くなっていると考えることもできます。
 そして、「自分の殻を破る」というのは、一度きりの行為ではないことに留意しなければなりません。

 A社長が何度もそうした場面に遭遇し、そのたびに乗り越え、成長を遂げてきたように、幾度となくそうした環境は訪れるものです。
 しかし経営者の立場から部下の成長を願うならば、環境が訪れるのを待つだけでなく、環境やきっかけをあえて作ることも考えるべきでしょう。
 その具体的なやり方というのが、A社長が実践した背伸びが必要な仕事で部下を追い込むということなのだと思います。

 なぜ背伸びが必要なのかと言えば、背伸びしなくてもいい場所というのは、その人にとってのいわば「ぬるま湯」です。
 ここを抜け出ることで成長があります。ただ、最も大事なのは、自分の殻は自分でしか破れないことです。だから経営者の仕事とは、環境ときっかけを与えることなのです。
   


Posted by akroum at 09:57Comments(0)人事・労務

2018年03月22日

‘採用' 自社の魅力を伝えきれていないのでは

 A社はコンスタントに売上を上げていましたから、経営自体は順調といっていい水準にありました。しかし、A社長には年間を通していつも一つの悩みが頭の片隅にあったそうです。それは、新卒の採用が思うようにいかないということでした。
 A社は機械メーカーですから、主な採用枠は開発設計職となります。募集する新卒者に求める能力がかなり限定される上、地方の中小企業ということが採用活動に不利に働くようで、6名の採用予定が、2~3名を確保するのがせいぜいという状況が続いていました。
 
A社が採用活動をどのように行っていたかというと、まず学生向けの「就職支援サイト」に紹介文の掲載を始めるのが最初です。
 同時に就職サイトに登録した学生に対し、A社に興味をもってもらうことを目的とした「メールDM」を送信する作業が続きます。
 そして、メールを返信してきた学生に対して、会社説明会を開催し、最終的にエントリーしてきた学生と面接を行い、通過した学生に内定を出すという流れです。
 一般的な採用活動の手順を踏んではいますが、それで結局、入社してくるのは2~3名という結果だったわけです。

 そうした状況を憂いつつ、商談のために訪れた会社からの帰り際、受付に置いてあった会社案内がA社長の目に留まり、何気なくそれを手に取ったそうです。
 帰りの車中、パラパラと冊子をめくっていくにつれてA社長の表情が徐々にこわばって
いきます。
 最初のページは社長のあいさつ。そこには「多様化するマーケットをリードする……」とどこかで聞いたような、それでいて何も伝わってこないメッセージが付されています。
 次のページをめくってみると、宇宙空間をイメージした写真を背景にして、組織図が描かれています。その後は、これまでに成し遂げてきた会社の業績が商品と一緒に延々と羅列されているといった具合です。
 何の気なしに手に取った会社案内ではありましたが、これをめくり終えると、A社長は呆気に取られたそうです。というのも、やっていることは違う会社なのに、A社の会社案内と基本的なつくりがまるっきり一緒だったからです。

 地方の中小企業、限定された採用条件、こんなことを新卒獲得が思うようにいかない理由と考えていましたが、「自社らしさがちっとも学生に伝わっていないのが本当の原因だったのではないか」とA社長が考えるようになったのは、このことがきっかけでした。
 また、就職サイトに掲載しているA社の紹介文も会社案内がベースになっていましたから、その効果は限定的であっただろうとの思いも日増しに強くなっていきます。
 そこでA社長は次からは、「本当のA社らしさをアピール」することを主眼に置いてやってみようと決心したというのです。

 それでA社長が正面から取り組まざるを得なかったのは、本当のA社らしさとは何なのか、という問いに答えることでした。これはA社長にとって、原点に返ることでもあったわけです。
「なぜ自分はこの仕事を始めたのか」「モノづくりを通して人の役に立ちたいからだ」「そのためにどんな人材が欲しいのか」「一緒にこだわりをもってモノづくりをしてくれる人だ」

 
このように考えると、これまでは曖昧に「良い人材」を求めていたことに気づいたといいます。求める人材像が曖昧だっただけに、アピールポイントも曖昧な万人受けするものになっていたのでしょう。結果、それは誰の心にも届いていなかったのです。

 そうしてA社長が最初に取り組んだのは、会社案内のパンフレットを一新することでした。いちばん大きな変更点は、これまでのような成功業績の羅列をやめて、逆に製品開発の失敗事例を社員の目線から語った構成にしたという点でした。
 すなわち、ある製品を開発する過程でどのような失敗があったのか、そのときに社員はどのように考えどう行動したのか、そして社員はそうした体験を通じてどのような教訓を得て、次の仕事につなげていったのか、ということが社員自身の言葉で語られたわけです。
 もちろん、就職サイトへの掲載の仕方もこうした方針に沿って変更されました。失敗を含めてのモノづくりの楽しさ、そして苦労してつくった製品に対して顧客から感謝の言葉をもらったときの何物にも代えられない気持ちへの言及です。

 さらに、会社説明会も本社でやることにしました。交通費を負担して交通の便の悪い場所まで来てもらうのは、やはりA社のモノづくりの現場を実際に見てもらいたいからでした。
 他人から見たらどうでもいいようなことに、こだわりをもってああでもないこうでもないと真剣に議論している社員の姿がA社長には頼もしかったし、そうした姿に共感してくれる人に入社してほしいとA社長は思ったのです。

 また、会社説明会についても、これまでとはやり方を変えてみたそうです。長々と話していた会社概要を大幅にカットして、製造現場の人間が自分で用意した原稿で、モノづくりの楽しさ、「職人」としてのプライドを訴える形式にしたのです。確かにそれはつたないいスピーチであったかも知れませんが、自社らしさは十分に伝わったというのがA社長の実感でした。
 このような一連の改革を通して、A社の採用は5人を確保することができたそうです。
 新たな人材をほぼ採用予定に近い人数を獲得できたことは喜ばしく、その結果に満足していたのですが、同時にA社長にとって意義深かったのは、「そもそも私はなぜこの仕事をしているのか。そしてどんな活動を通して対価を得ているのか」と問い直す場所に立ち戻れたことだそうです。そのことで、採用を考えることは、会社の根本を振り返りながら、将来を考えるに等しいとA社長は考えるようになったといいます。

 そう認識すると、これまで採用にかかるお金は「コスト」であるとどこかで思っていたのが、はっきりと「投資」と位置づけられるようになったともA社長は言います。

 今後も厳しい採用状況が見込まれる中、採用活動をするにあたって具体的に一度「自社らしさ」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

  


Posted by akroum at 12:31Comments(0)採用サポート

2018年02月22日

時間の使い方と学ぶ姿勢の習慣化

 仕事においてのみならず、人生においても時間の使い方は重要です。時間は限られているからに他なりませんし、時間の使い方によって人の日常は大きく変化するからです。
 では、一般的なビジネスマンはプライベートの時間をどのように使っているのでしょうか。
 ここで、あえて問題にしたいのは、プライベートの時間の使い方のうち、「学び」に費やされた時間はどれほどあったかということです。
 ネットで調べてみるとスマホやネット、メール、テレビが大きな時間を占めているという調査結果が出ているようです。
 「一生勉強」という言葉はよく聞きますが、本当に実践することは難しいものです。


 A社は雑貨のセレクトショップを経営する会社です。それほど大きな店舗を構えているわけではありません。しかし、A社長の熱心な経営姿勢のおかげで売上は順調なようです。
 まだ創業して3年に満たないのですが、早くも2号店を3カ月後には開業する運びだといいます。
 通常営業に加えて開業準備も加わって、A社長を含めて5人の社員の日常は多忙を極めていました。
 しかし、そうした忙しい中で、A社長がある思いに捕われたのはまさにそうしたときでした。もちろん、新店舗の開業はA社長にとって嬉しいことです。社員も喜んでくれて、準備に汗を流してくれています。ただ、「事業を拡大してみても新しいことは何もしていないじゃないか」という自問が湧いてきてしまったのです。
 雑貨を売ることで、ささやかではあっても人々の暮らしに彩りを与えているのは、たしかにA社長の誇りでした。
 しかし同時に、それに甘んじてはいけないとも思えたのです。


 A社長は自らに学習目標を課し、そして社員たちにも同様に学習目標を立てさせることにしたそうです。これまでA社では、個々の社員に仕事の目標を立てさせることはありました。
 つまり、1カ月で△△万円の売上、新規顧客○○人の獲得、リピーターの確保……といった具合です。学習目標は初めてですから、彼らも戸惑ったようです。
 しかし、出された目標を見てみると、それぞれの個性が如実に表れているようで、A社長には面白く感じられました。知らなかった彼らの一面を垣間見ているようでした。
 しばらくすると、「これが効果だろうか」と思える光景が社内で見受けられるようになりました。
 各自が興味をもって学んだ事柄を、ある者は熱っぽく、ある者は嬉しそうに、他の社員に話している姿を目にするようになったのです。聞く方も興味深そうに耳を傾けています。
 また、仕事のやり方にも変化が現れだしたといいます。これまでだったら電話で簡単に済ませていた打ち合わせも、実際に会って相手の話を聞く社員が増えたのです。
 A社長が打ち合わせに同行してみると、それは情報収集というより、まさに学んでいる感じだったそうです。


 そうした日々を過ごすうち、北欧家具の歴史を学習目標にしていたB君からある提案がなされました。彼はその歴史を勉強するうちに、木製品への愛着の深さを認識するようになったそうです。
 A社は雑貨店ですから家具というわけにはいきませんが、スプーンやカップを扱ってみたらどうかと言うのです。たしかに北欧インテリアの人気は日本で定着しています。試してみる価値ありと踏んだA社長は、早速店頭に並べてみたそうです。
すると、これまでの客層ではなかった若いお母さん方の支持を集めることになったのです。
 それは、温もりのある見栄えと優しい手触りのおかげで、自分たちの子供にこんな食器で食べさせたいという欲求にうまく合致した結果でした。

 このような一つの成果を、A社長は「学ぶ姿勢」から社員同士が刺激し合うことで生まれたものと捉えているようです。
 そしてA社におけるこの変化は、個々の「学ぶ姿勢」が組織の新たな変化と成長の下支えとなる可能性を示唆しています。
 また、よく「利益は後からついてくる」と言われますが、A社がたどった経緯は、その一つの形を体現していると考えます。

  


Posted by akroum at 09:32Comments(0)人事・労務

2018年01月22日

人事評価:伝統的感覚と新たな基準

 様々な社内制度の中に人事評価制度と呼ばれるものがあります。これは、文字通り人材を評価して、その給与や役職などを決める基準となるものです。
 しかし一般の企業経営で、人事評価制度、あるいは人事評価が経営の大きなテーマになることは、あまりなかったように思います。
 経営者の皆様の間でも、人事評価制度はあったらいいなとは思うけれど、実際に熱心に作成に取り組むほどの動機は持てない方が少なくないのかも知れません。
 新しい制度や考え方が普及しにくい背景には、年功序列制度が、今も私たちの心の深いところで生きているからかも知れません。実力主義の典型であるプロ野球の世界でさえ選手間の年功や年齢意識は強いようですので、表面に見えるほど、私たちの感覚は成果主義にも能力主義にも移行し切れてはいないのです。

 
年功序列は、経営者や管理者にとって、相当に便利な制度でした。それは、特別に個人を観察したり評価したりしなくても年齢や勤続年数など客観的な要素で処遇を決めることができたからです。
 従業員の間でも、仮に仕事の中心が若いAさんでありながら、年齢も勤続年数も上のBさんの方が給与や地位が高くても、なんとなくそれが自然であるかのように感じることができました。

 しかし、そうした古きよき時代の現実は、今や定年延長一つをとってみただけでも、成り立たなくなったと分かります。それは、たとえば60歳を過ぎた人材が、組織で最も高い給与と高い地位を得るというのが、今日の競争社会では、あり得ないほど奇異になってしまったからです。
 そのために、とにかく若くても、勤続年数が短くても、組織に有益な人材の方を厚く処遇したいとする動きが当たり前のように出てきて、もはや年功序列の時代は終わったことが常識にもなりました。

 ところが、終わったはずの年功序列時代の一つの癖が、今も無意識的に引きずられてしまっているケースでは、
・新しい人材評価制度を作ったが、うまく運用できない
・年功序列は疑問でも成果主義や能力主義にピンとこないという実感が根強く残っているかも知れません。
 そしてその強い伝統的感覚が、新しい人材制度自体をも、分かりにくい複雑なものにしてしまっている気がするのです。
 その年功序列時代の一つの癖とは、人事評価を客観的で万能な数値で捉えようとする感覚ではないかと思います。
 年功序列時代は年齢や勤続年数など、誰が見ても明らかな評価基準がありましたが、それに代わる成果主義や能力主義にも、同じように、誰の目にも明らかな客観基準を作りたがってしまう傾向が、私たちにないだろうかという疑問です。
 その人材に「何ができるか」という業務遂行能力を基準に評価する能力主義でも、営業と経理のような異なる職能でどう評価を変えるかなどという基本的な問題にぶつかります。

 それでも強引に、業績主義や能力主義を導入すると、自分たちはきちんと評価されていないという、従業員の不満を生み出してしまうのです。
 ではいったいどうすればよいのでしょう。どうすれば、高齢化社会・競争社会にはそぐわない年功序列を脱却し、納得性の高い、不満の少ない新しい制度を導入することができるのでしょうか。

 年功序列とは、評価は客観的な数値で行うべきで、行い得るものだという一種の哲学のようなもので、その必要以上の、あるいは無意識の超客観主義が、新しい制度を複雑にしてしまい、その導入自体をピンと来ないものにしてしまっているのではないかということです。
 むしろ評価に自動性を与えてくれた年功序列の存在を忘れ、つまり客観的な基準をいかに作るかではなく、原点に戻って「人材の努力に公平に報いる」にはどうするかを考えるなら、複雑な方式よりも、もっと容易でもっと効果的な視点が浮かび上がってくるように思うということです。
 いずれにしても、絶対的尺度を失った現在、人事評価を考えるには、新しい視点が必要です。
 その新しい視点とは、評価の基準ではなく「人材を見る基準」を持つことです。具体的には、各人材に何をして欲しいのか、その役割や成果の期待を明確にすることです。
 「これと、これをこうして欲しい」とあらかじめ決めようとすると、それだけでも経営者や管理者は人材を見るようになるでしょうし、それができたかどうかをチェックする姿勢を持てば、更に人材を深く見るとともに、人材にも見られていることを実感できる機会が増えることになるはずです。

 経営者が全従業員を見ることができないケースでは、経営者が管理者の役割期待とその実施チェックをし、管理者にはその部門の人材に同じようなことをしてもらうことで、問題は軽減されるはずです。
 部門の人材の仕事の作り方やそのチェックを見れば、その管理者が管理者として適性かどうかの判断もしやすくなるでしょう。部下の仕事を明確にし、何を期待するかを語れないならば、それだけで管理者としては失格だからです。

 評価基準ではなく「見る基準」を持てば、それで人事評価が完成するわけではありません。賃金や退職金の支払条件や昇進の決定条件を具体的に決めなければならないからです。しかしいかなる条件設定をしても適切に見ることを制度化し、従業員にも「経営者が見るというのはこういうことなのだ」と分かる形を持たなければ、運用は難しくなるばかりでしょう。
 能力や業績などの間接材料だけではなく、経営者や管理者が「こうして欲しい」と要望したことができたかどうかを評価するなら、そこには経営者のニーズに応えようとするプロ意識も生まれ得るのではないでしょうか。
 経営者がこうして欲しいと明確な姿勢を持つことには、給与の不満を軽減する以上の意味があるはずです。

  


Posted by akroum at 08:46Comments(0)人事・労務

2017年12月29日

忘年会~2017年~

2017年も、残すところあと3日となりました。
弊所も今日が仕事納めとなり、大掃除などを行って
今年の業務を締めくくります。

先日、一足早く忘年会icon151を開催しました
今年のお店は、大名にある「ふくろうの森」さんです。

手羽先の唐揚げ、大根とモツの煮込み、焼きガキ、
お刺身の盛り合わせ、あんこう鍋 などなど・・・
本当に、どれも全部美味しくて、お酒もすすむし
会話も弾みましたface15








あと、ゴボウの唐揚げも美味icon102です

ちょっと早い忘年会でしたが、
一年に一度、
わいわい盛り上がってこんな風に過ごすのも
来年へのはずみとなっていいですねicon14

2017年も終わりを迎えようとしています。
2018年は、今年よりいい一年になりますように・・・icon12






  


Posted by akroum at 10:35Comments(0)スタッフ日記

2017年12月23日

今なぜ叱りにくいのか

 角界は大相撲の元横綱日馬富士が幕内貴ノ岩に暴行したとされる問題で揺れていますが、以前、この角界で叱れない親方の存在がクローズアップされていたことがあります。
 もっとも角界に限らず上が下を叱らなくなったのは風潮としてあるかも知れません。
 そもそも相撲は、その心技一体性といい、鍛え上げられた姿勢といい、一瞬で決まる勝負といい、すべてスカッとするものです。
 それが失われれば単なる格闘技になってしまうと言えるのかも知れません。
 単なる格闘技としてなら、流血もなく物足りない相撲が、徐々に人気をなくすのは当然でしょう。
 しかし、同じような理由で、一般の企業でも成長エネルギーを見失っていると言えるとしたら、これは大きな問題です。

 健康食品を製造販売するA社で、通信販売に取り組むことになりました。独自の販売ルートで、新たな収益源を開拓する同業者が増えたからです。同じような商品を取り扱っているわけですから、自社にできないはずはありません。
 しかし、その目論見は最初の一歩からつまずきます。
 まず、インターネット上にホームページを開こうとした際、従業員の中で最も商品知識がある従業員が私はアナログ人間なんですとしり込みをしたからです。
 お前はアナログ以前と心の中で思いながらも、経営者は彼を叱りませんでした。そして彼をなだめながら、知人の会社の経営者に頼み、ネットを活用した商売がどういうものか教育してもらうことにしたのです。

 システム専門家では距離がありますが、ブログで客を集めている会社なら、親切に教えてくれると思ったのでしょう。
 しかし、彼は半日で会社に戻って来ました。

 昔の頑固オヤジなら「今すぐ社長に謝って来い。石にかじりついても教えてもらえ」と怒鳴るところですが、社長は何も言わず、そのままその人材を放置したのだそうです。
 私たちは誰でも「新しいこと」や「未経験分野」を怖がる傾向があります。特に小賢しい人ほど、失敗がイメージできるためか、恐れて尻ごみするケースが多いのです。しかも小賢しい人は、言い訳も上手です。
 そんな時、背中を強く押すものが、叱られるという体験なのではないでしょうか。

 もちろん、叱られるのが嫌だから前に進むのではありません。自分でも取り組むべきだと思っているのに、取り組む勇気が湧かない時、その取り組むべきだという思いにエネルギーを送るのが雷だからです。その時、従業員も子供のように、心が反応するのかも知れません。
 ただし当然、むやみやたらと叱ればよいというものではないでしょう。特に、感情的に怒りをぶつけるだけに終わると、従業員は叱られたと感じるより、また社長がわめいているという程度にしか受け止めなくなり、効用は期待できないからです。
 そこで、適正に叱るベースとして、今なぜ叱りにくいのかを考えておく必要があるようです。

 叱るべき世代と叱られるべき世代の文化(考え方や感じ方)の違いがあります。
 それはその子供時代の環境の差にあるのかも知れません。今の若手の多くは、同年代の子供ではなく大人との関係の中で育っているからです。本能的に大人の心を見抜く子供たちは、大人との関係の中で大人への対処法を、自然に身に付けて行きます。彼らに大人を怖がる気持ちはありません。

 叱れないのは気が弱くなったせいではなく、状況を把握できていないからだけかも知れません。そして、どんどん叱れる経営者の方でも、叱ることがただ怒ることに留まって、従業員の自己革新効果をなかなか生まないとしたら、異文化に届かない叱り方をしていると疑う必要がありそうです。

 新しい文化には新しい方法が必要です。
 ただ単に叱るべきだと主張する復古的な風潮には、流されない方がよいと思うからです。
 従業員が自己革新に取り組む組織には、新たなチャンスが次々に訪れます。
 自己革新を求める指導のポイントは、時代とともに変わっています。

  


Posted by akroum at 09:45Comments(0)経営

2017年11月20日

根回しとは、実はコミュニケーション

 「根回し」というと、何やら陰湿なイメージが付きまといますが、不当に悪者扱いされているようにも感じます。
 確かに、「根回し」なる言葉には、後ろ暗いイメージが付きまといます。
 しかし、根回しとは、「関係者に意図や事情などを説明し、ある程度まで事前に了解を得ておくこと」です。
 問題は、その根回しがどのように行われたかだと思います。

 A社は機械メーカーで、顧客からのカスタマイズ依頼に細かく応えることで、関係を深化させ、顧客が現在の商品・サービスから他社に乗り換える際に負担するコストを高め、長期的な取引を成立させてきたのです。
 しかし最近では、同じ戦略を採用する同業他社も増えはじめ、そのために既存顧客が離れたり、大幅な値下げ要求を呑まざるを得ない事態が増えています。
 A社経営陣の危機感は相当なもので、彼らの間ではより詳細な顧客動向を把握することが経営上急務であるとの認識で一致していました。

 そうした状況下、新たに営業課の長に就いたのがBさんでした。この時期に新たに営業課のひとつの長を任されたわけですから、会社が自分に営業のテコ入れを期待していることは、明らかでした。
 B課長は張り切っていました。就任早々、上司である営業部長に対して、KPI(重要業績評価指標)の採用を具申したのです。
 A社の現状、そして顧客動向をより精確に把握したいという経営幹部の要請とも合致します。そうした説明を部長にしてみると、感触は決して悪いものではありませんでした。
そうして素案が完成したのは、提案から1カ月後のことでした。部長はその出来に満足し、速やかに営業全体のミーティングが招集される運びとなりました。

 B課長は、この提案によって会社が変われるとの思いに、これまでの自身の頑張りをないまぜにしながら、期待を膨らませて会議室に向かったそうです。

 ところが、会議はB課長が予期する展開ではありませんでした。各営業課員から反対意見が続出したのです。
 結局、会議は、営業部長により、B課長の提案するKPI導入を、「今後の検討課題」とすることに決定したといいます。つまりは、棚上げということです。
 B課長はこの結果に、「なんでだ」という気持ちだったといいます。
 というのも、B課長にしたら、今回の提案は一心に会社の業績を上向かせるためのものであって、どこにも反対する余地のない提案だったわけです。
 いわば、正論中の正論です。それにも拘わらず、反対意見が続出したという事態に、B課長は会議直後、「何で分かってくれないのかが分からない」という心情に陥っていたのです。
 そこへ営業部長が、「B課長、調整が不十分だったようだね」と声を掛けてきたそうです。
 「B課長の提案はいいと思う。しかし現場がその気になって動いてくれなければ絵に描いた餅だよ。そのことを考えてもう一度周囲を巻き込んで調整してみたら」との言葉を残して部長は立ち去って行きました。
 「周囲を巻き込んで」とのフレーズが心に残りました。振り返ってみれば、一人で戦っていた自分の姿が浮かんできます。
 まさに孤軍奮闘、その結果が今日の会議の集中砲火だったというわけです。
 自分では十分に調整しているつもりでも、その大部分はシステム部との打ち合わせに費やされ、いかに自分が想定したスケジュール通りに進めるかに偏っていたことに気づいたのです。
 その甲斐あってか、以前より理解を示し、味方になってくれる人が多くなってきたとB課長は実感しているそうです。
 
 組織において、何か新しいことを始めようとするとき、最初から全面的に賛成ということは、まずありません。それがどんなに素晴らしく、成功の見込みが高い提案だったとしても、必ず反対意見があるものです。
 それは、その提案によって変化を強いられる人が必ず存在するからです。何かを失う恐れがある場合は、反対派の態度はなおさら強硬になります。


 根回しというと、後ろ暗いイメージが付きまといますが、根回しとは、実はコミュニケーションのことです。それを「健全に」しなければ、動くものも動きません。
 「健全な根回し」の目的は信頼関係の構築です。それがあって初めて、動かなかったものが動き始めるのです。  

  


Posted by akroum at 08:53Comments(0)人事・労務

2017年10月22日

経営者の「説明責任」

 数ある経営資源のなかでも、最も重要なものとして従業員の存在を挙げ「社員は大切」「人材は宝」といった言葉を口にする経営者は少なくありません。
 では実際、経営者の従業員に対する思いは、どれほど従業員に伝わっているのでしょうか。

 大学進学を目指す高校生のためのY学習塾を、その豊富な家庭教師のアルバイト経験を生かし、大学4年生のときにA社長は立ち上げました。
 大学の同級生数人を講師としてスタートした塾でしたが、教育費に余裕がある時代だったこともあり、生徒数は見る見る増えていったといいます。
 しかし、この状況がいつまでも続くことはなく、景気の悪化ともに生徒数は減少を始め、業績は落ち込んでいったそうです。
 新しい生徒の獲得が難しくなると同時に、自塾の生徒が他塾へと移っていく状況にまで至り、いよいよ経営が厳しくなってきました。
 悪いことは重なるものです。さらにA社長の気を滅入らせる出来事が起きました。生徒の母親からクレームが入ったのです。
 どうやら、成績の上がらない息子を母親が責めたところ、息子は「Y学習塾の授業は教科書をなぞるだけでやる気が出ない」と口にしたようです。
 もし母親のクレームが真実ならば、生徒が減るのも当然に思えたからです。早急に現状を自らの目で確認する必要がありました。

 Y学習塾の場合、授業の進め方には講師にかなりの裁量が認められています。そのほうが教えがいがあると家庭教師の経験からA社長は知っていたからです。
 実際、A社長は現場を視察してみて、多くの講師が自作のプリントを用意し、適宜小テストを行うなど、創意工夫を凝らして授業に臨んでいることを確認できました。しかし、
裁量が悪く出ているケースも見受けられました。あの母親のクレーム通りの授業であり、一部の講師からは熱意がまったく感じられなかったのです。
 A社長は「生徒離れの一因は授業の質のばらつきにある」と確信したそうです。と同時に、ばらつきをなくすために「授業マニュアル」導入の必要性を強く感じたといいます。

 A社長は早速、他社の情報を集めてみました。すると、小規模の塾、大手予備校もそれぞれに他にはない指導法を売りにしていることが分かります。
 特にある予備校では、父兄とのコミュニケーションを密にすることで、結果的に他塾への流出を阻止する仕組みを構築していました。父兄を敵に回してしまった自分たちとの違いをまざまざと見せつけられたといいます。
 A社長はマニュアルの作成とともに、こうした工夫も必要であると実感したそうです。

 管理体制の導入によって、A社長の目論見では講師のレベルが均質化し、生徒離れに歯止めがかかるはずでした。しかしながら、結果はまったくの当て外れだったそうです。
 一体、何が悪かったのでしょうか。一人で考えていても何も分かりませんから、マニュアルを含めた新たな体制についての意見も含め、A社長は疑問を講師陣に直接ぶつけてみました。
 一人ひとりと時間をかけて話すうちに彼らの本音が見えてきました。要するに、講師のほとんどがやる気を落としていたのです。特に熱心な講師ほどその度合いは甚だしかったようです。
 彼らの話を聞くと、生徒が減っているのはもちろん気づいていたし、だから自分たちなりに授業を充実させようとがんばっているところへマニュアルが配られ、チェックシートが導入され、まるで監視されているように感じた、と。
 結果、講師独自の持ち味、ノウハウを生かす余地はなくなり、彼らはやる気を失っていったというわけです。A社長の意図は授業レベルの底上げにあったのですが、そのメッセージは講師には「私はあなたたちを信用していない」と、まったく別の形で受け取られてしまっていたのです。


 こうした事態を受けて、A社長はすぐさま全講師を集め、今回の諸制度導入の背景を改めて説明しました。自社の経営状態や例の母親からのクレームを含めてです。
 会議をきっかけに実行に移された改善案は、数多くあります。個別指導の充実、志望校を意識させた動機付け、また、一度失敗した後で講師の裁量権が復活したのも、結果的にプラスに働いたのかも知れません。講師陣は以前にもまして創意工夫を凝らすようになり、横の連絡も密になったようです。
 講師の熱に引っ張られるようにして、生徒の学力も目に見えて上がっていきました。A社長はこうした成果を喜びつつも、従業員とのコミュニケーション不足の恐ろしさを心に刻んだといいます。

 経営者の意図が伝わらず、疑念や反発といったネガティブな思いを従業員が抱えてしまえば、かえって回り道となるばかりか、期待される成果に至れない確率は高まるでしょう。
 
この場合のコミュニケーションは、経営者の「説明責任」と言っていいものです。従業員に対して、必要ならば社長自らが先頭に立ち、自社の現状と方針について、数字などを使って具体的に説明する行為こそ、「社員を大切に」「人材こそ宝」といった言葉に実体を与えてくれるのではないでしょうか。
  


Posted by akroum at 09:51Comments(0)経営

2017年10月13日

社員旅行in佐世保

先週、初めての社員旅行へ行ってきました!
行き先はicon51長崎(佐世保)です

長崎といえば・・美味しいモノがたくさんありますねicon64
さっそくトルコライスをぱくりicon28

メインイベントまで少し時間があったので
ちょっと足をのばして、平戸icon17へ行ってみました~
平戸城から見る景色も、なかなかいいですね~










さて、メインイベントは
九十九島パールシーリゾートでのサンセットクルーズicon19です
なんと!当日は四重奏の生演奏icon155つき
日頃の行いがいいと、イイコトありますね
しかも、素晴らしい夕日icon01









丘の上のホテルに泊まりました。
九十九島の眺めがサイコ~icon100
お料理も美味しかったですicon12

2日目は、昨日の九十九島パールシーリゾートにある
水族館icon126
イルカショーなどなど、楽しかったですface01

呼子のイカを美味しくいただいて、帰路につきました。
初めての社員旅行、とっても楽しかったですicon67



  


Posted by akroum at 08:01Comments(0)スタッフ日記

2017年09月20日

経営者 VS 従業員 よかれと思った措置でも

 経営者が、会社や従業員全体のことを考えた上で、よかれと思って決断した措置でも、当の従業員からしてみれば、納得がいかないこともあるはずです。
 お互いに守らなければならないものがあるのですから、仕方のない部分もありますが、中には、「ごね得」とばかりに、あまりに理不尽な要求を突き付けてくる従業員がいるのも、これまた現実です。

 A社は創業5年とまだ若く、従業員も7名と小さな会社ではありますが、その若さゆえの柔軟な発想と行動力が地元で重宝がられ、2年目からは早くもそこそこの利益を計上するようになったということです。
 となると、どうしても人手が足りなくなり、早速、ハローワークや求人サイトに広告を載せるとともに、自社のHPにおいても、広く人材を求める旨、告知したそうです。
 そこに応募してきたのがK君(26歳)だったといいますが、このK君、A社長の見るところによると、かなり期待できそうだったようです。


 結局、K君は他3名と一緒にA社に中途入社したそうですが、彼が期待外れであったことは、入社半年を過ぎた頃から明らかになってきたといいます。
 営業成績がさっぱりだったのは言うに及ばず、朝はモタモタと他の社員より営業に出るのが遅く、帰社すると、パソコンの画面をジーッと見つめている始末です。
 A社長からも仕事と向き合うよう促しはしましたが、彼ばかりにかまけてもいられず、入社後1年もするとK君は、A社長にとって疎ましい存在となっていったそうです。
こうしたA社長の変化を敏感に感じ取ってか、K君の態度は急激に変わっていったといいます。
 聞こえてくるのはどうにも放っておけぬ報告ばかりです。
 悪評が集まればA社長も放っておけません。即刻、K君を呼んで、その真意をただして みたそうです。
開口一番、自分の勤務態度を棚に上げた言い分を続けた挙げ句、束の間の沈黙の末、「あいつらと同時入社なのに、何で僕だけ給料が安いんですか」と、訴えてきたそうです。
 呆れながらも、A社長はK君の営業成績を振り返り、この2年足らずのうちに同期と差がついてしまったことを説明し、K君も入社当初の真摯さで仕事をすれば追い付けると励ましたようです。

 そうした状況下で新たに採用したのがT君だったといいます。営業のテコ入れはもちろん、T君はK君と同じ歳ということで、A社長としてはK君の奮起につながればという思惑もあったようです。
 ところが、このT君の採用が、A社における労使トラブルを決定的なものにしたようです。A社長の算段の半分は当たり、もう半分はまったく逆効果であったというのです。
 これまでの経緯から社内で浮いた存在になっていたK君は、T君という話し相手ができたことで元気を取り戻し、朝も二人連れだって営業に出かけていく姿が見られるようになったそうです。
 しかし、この二人の急接近は先輩社員のK君の影響力が勝ってしまったようです。
半年後、T君は先輩社員を軽んじ始め、不機嫌な態度を終始まき散らすようになってしまったといいます。


 A社長もそうした事態を放っておいたわけではありません。二人を個別に呼んで改善策を模索し、給料の話が出れば、「それで社内の雰囲気が良くなるのなら」との思いから、多少のベースアップに応じもしたそうです。
 ところが数カ月が経ったある日の朝、「社長、お話があるのですが」と二人そろって切り出してきたというのです。
 二人の主張はこうです。「自分達は正当に評価されていない」「会社の営業方針はおかしい」「給料が安い」と。さすがにA社長も我慢の限界を超え、その場で退職を勧告したといいます。
 まさか退職を突き付けられると思っていなかった二人はかなりのショックを受けたようで、その日はそのまま帰ってしまったそうです。翌日は無断欠勤、翌々日に二人一緒に現れたK君とT君は沢山の資料を抱えていたといいます。それはインターネットと一般書籍から引っ張ってきたもので、蛍光ペンでの線引きやあちこちから飛び出した付箋は二人の執念を感じさせるものでした。


 彼らは「始業時間の1時間前には出社していたのだから、これは残業になるはずだ」「毎日のように20時、21時まで働いたのに残業代がつかないのはおかしい。さかのぼって支払って欲しい」と主張したそうです。
しかし、A社長としては、早めの出社は新入社員として当然だと考えていましたし、外回りが多い営業社員には、残業代の代わりに「営業手当」として月5万円を支給していました。それは入社時の説明で納得済みのはずで、しかも残業の半分は社長も一緒に残って、指導や研修を行っていたというものでした。

 「早く二人に一人前になってほしいという思いは何だったんだ」との空しさを抱えながら、A社長は専門家への相談を重ねました。しかしながら、就業規則が整備できていない状況であったこともあり、結局は話し合いの末、解雇予告手当に加え、「給与1カ月分の支払い」「残有給の買い取り」で、二人とは和解することになったのです。
 これがA社長の経験だったわけですが、実際、労使トラブルとは経営者のパワーを根こそぎ奪ってしまうもののようです。
 
A社長はそれ以来、会社のルールを明文化する重要性に気づき、就業規則の見直しに着手したそうです。
 良い意味でも悪い意味でも、多様な人間が集まるのが会社です。社員が仕事への情熱、やり甲斐を共有してくれるものだと思い込んでいたところに甘さがあったと、A社長は振り返ります。

  


Posted by akroum at 09:26Comments(0)人事・労務

2017年08月18日

競わせるより、「学ばせる」大事さ

 甲社では、最近の重苦しい状況を打破するために、かつて比較的大きな企業で、営業の最前線を担当してきた人材を招いて、営業力の強化を図りました。招いたのは、営業部長まで勤めた人材でしたが、あまり多くの年俸を用意する必要はなかったそうです。
 しかも、当初は従業員にも好評でした。それは、今まで社長の直属だったから、話さえ聞いてもらえなかったけれど、今度の部長は小さな相談にものってくれるというものだったのです。
 現場での直接指導を任せたかったA社長には、従業員の反応は好都合でした。ところが、そんな好ましい関係は、長続きしなかったのです。

 親身に話を聞いてくれる新営業部長は、同時に個人別に営業成績グラフを掲示することも忘れませんでした。
 アメ(相談にのること)とムチ(成績を明瞭にすること)によるモチベーション管理とでもいうのでしょうか。
 しかし、よくある「成績グラフ」は、半年もたたないうちに、行き詰まってしまいます。
 業績も、新部長就任以前より悪化してきました。


 営業部長に注意を促しても、「やはり中小企業ではダメか。前の企業では当たり前だったのに」と、問題を過去の成功にすりかえてしまうだけで、改善する様子を見せません。
 厳しい時代の「奥の手」として、輝かしい業績を残した優秀な人材を招いたはずなのに。 A社長は、そんな苦々しい経験の後、営業部長に退社を促し、直接組織の建て直しに取り組みました。

 営業部長が、かつて活躍した頃は、、市場が右肩上がりに拡大した時代で、ガンバレばそれなりの成果が出る方が自然だったのです。
 もちろん、右肩上がりの時代にも、そのガンバリの深さや大きさで、様々な差が出ました。しかし、成果に差があっても、適切なガンバリには何がしかの成果がついて来たのです。
 しかし、今日では、いくらガンバッても、それが成果につながる保証はありません。
 そんな状況の中で、ムチを打っても、誰も走ることはできないでしょう。営業部長は、相談にのってくれる人でしたが、その相談から得られる回答は、今の環境からかけ離れた大きな組織での体験談であり、聞く側には、ほとんど理解できなかったのです。

 あれこれ悩んだあげく、A社長は1つの行動に出ることにしました。その行動が、その後の展開に大きな影響を与え、徐々に人材に活力が戻って行ったそうです。
 A社長が最初に取り組んだ「行動」とは、できるB君とできないC君の営業活動の比較でした。
 どこからどのように「見込み客」を見つけ出し、その見込み客にどんな資料とどんなトークで働きかけ、どんなタイミングでどれだけの頻度で訪問しながら、どんなキラートークでクロージングをかけるのか、時には同行しながら把握することに努めました。
 もちろん営業活動中だけではなく、朝や夕方の会社での過ごし方や、趣味の持ち方まで、こと細かく比較したそうです。


 観察結果として、A社長は、「こんな対象に、このタイミングで、この資料をぶつけ、こんなトークをして、この反応を得た時に思い切ってプッシュする」という類の「営業ストーリー」を作ることができました。確かに自分の若い頃とは世の中が変わっており、驚く部分もありましたが、営業の本質は、大きく変わっているとは言えません。
 A社長は、ストーリーを全て営業ツールとして文書化するとともに、トークなどを全員に教えることとしたのです。

 社長が作った営業ツールとトークなどによって、全員がB君のような成績をおさめ始めたわけではありません。ツールやストーリーなどを高いレベルで揃えても、各人の成果には差が残ります。
 しかし、A社長によれば以前よりはずっと差が小さいし、C君までもが問題児でなくなっただけで成果は十分大きいということです。
 ただ結果ではなく、A社長の検討過程にある重要な要素に、私たちは注目する必要があるでしょう。

 今日のように、競争が激しくなると、努力の割には成果が出にくい、なかなか思い通りの成果は出ないということです。
 ところが、今まで当たり前のことができない人が、できるようになるなら、そこには大きな飛躍が生まれます。そして、すでに10の業績を挙げている人に11を求めるより、3の業績しか挙げていない人に、5を求めるほうが、組織全体の成果の増え方は大きくなるのです。難しい時代ほど、底上げが必要だと言われるのはそのためでしょう。
 全員を競わせて、競い合いに強い人だけを伸ばそうとするのではなく、できる人からできない人が学んで、そのマネをする方が、より効果的であるケースが少なくないからです。

 組織内部で競い合って、一番二番を争っても、船全体が世の中の大波にもまれて漂わざるを得ないのが、現代です。
 厳しい環境の中では、競い合いで組織構成員がお互いに力を消耗し合うのではなく、よいところや活動パターンを学び合って、結果として組織全体のパワー向上を達成するという考え方が、ますます重要になるでしょう。

  


Posted by akroum at 11:56Comments(0)人事・労務

2017年07月20日

部下から見た上司と二人の課長

 いわゆる中間管理職とは大変な仕事です。上からは結果を求められ、そのために自分に過重な労働を課し、体を壊してしまう例も少なくありません。また、仕事をうまく切り回すために、下に対しては人間関係を工夫する必要もあるようです。
激励、叱責、称賛……と、アメとムチはさまざまに使い分けられます。
 それでもなかなかうまくいかないのが、まさに中間管理職の仕事の大変さと言えるでしょう。
 実際、部下は上司をシビアに見ているものです。
 そこで上司の頑張りを無駄にしない部下のやる気の引き出し方について考えてみます。

 A社は食品を扱う商社で、営業部は30名と大所帯で、これは全社員の約6割を占めます。そして営業部はその扱う商材によって一課と二課に分けられているそうです。
 それぞれの課を束ねるのがB課長とC課長です。商社にとって営業職は非常に重要な役割で、A社の将来は二人の課長の双肩に掛かっているというのは、全社員にとってある程度共通した認識でした。
 そんな重要なポストを任されている二人ですから、共に仕事ができるのは言うまでもありません。

 ただ大きく違ったのは、仕事の進め方でした。

 一課の商材の営業には「攻めの姿勢」が必要なようで、B課長は社内ではイケイケの性格で知られています。
 一方、二課長の椅子に納まっているのがC課長であり、扱っているのは、非常に需要は多いのですが、それだけに競争は激しく、取引先との密な連絡は欠かせません。
 C課長は、綿密さを要求される仕事に打ってつけの人物と社内で目されています。


 A社では、営業部長が来年には定年を迎えるため、次にそのポストに就くのはB課長かC課長であるのは明らかで、この出世レースは社員たちの関心の的になっています。
 二人を課長に抜擢したのはA社長ですから、彼らの性格はよく知っているつもりです。しかし、課長に登用した最大の理由は、二人が「必ず結果を出す」ことでしたから、改めて、「経営幹部としてどちらがふさわしいか」という観点で見てみると、判断材料に乏しいことにA社長は気づいたそうです。

 そこで再度彼らの仕事ぶりを見極めてみようと思い立ったのです。
 評判にたがわず、B課長の働きぶりはエネルギッシュそのものです。部下への指示も素早く、的確であるとA社長の目には映ります。
 一方、C課長の仕事の進め方はというと、ある意味でB課長とは正反対であると言えそうです。明らかに書類に目を落としている時間が長く、部下を呼びつけたと思ったら、椅子を勧めて何やら20分も30分も話し込んでいます。
 スピード感という点では、どうやらB課長に軍配が上がりそうですが、そう簡単に判断は下せません。

 ここでA社長は、「経営幹部にふさわしいのは」というのが観察の目的であったことを確認します。「経営幹部に」ということならば、彼らの周辺にまで目が向けられて然るべきです。
 以来、A社長の目は二人の課長の部下へと向けられることになりました。そうして視線をずらしてみると、思いがけないものが見えてきたそうです。
 それは決して小さなものではありませんでした。
 一見すると、一課の社員たちはB課長の覇気に引っ張られて精力的に動き回っているように思えます。しかし、さらに綿密に観察してみると、部下たちは「B課長の言う通り」に動いていることが分かります。
 他方、C課長は部下に対して、いわゆる「命令」という形を取っていません。部下とのやり取りの中で答えを見つけていくのが彼のやり方のようです。


 その様子と比べてみると、一課の社員たちの表情は情熱的なようで、その実、テンパッているだけのようにも見えます。よくよく眺めてみると、一課員の働きというのは、B課長が頭に描いた通りの結果であって、それ以上でも以下でもありませんでした。
 しかし、二課の場合は違いました。C課長と部下とで練り上げた計画以上の成果が、時にもたらされたのです。
 この違いにA社長は着目せざるを得ませんでした。

 それは「部下への接し方」でした。C課長のやり方というのは、まずは「部下の考えを全面的に受け入れてみる」というものでした。
部下が自分で納得した上で違う方法をとるよう促していたのです。
 命令、強制を基本とするB課長との一番の違いはここですが、ノルマをこなすことに必死な一課員と伸び伸びと成果を出す二課員にこそ、最大の違いを認めたのでした。


 「会社の将来」を考えた時、リーダーがいなければ動けない社員、リーダーの思惑を超えて結果を出してくる社員、この違いを見れば結果は自ずと明らかなような気がします。こうした違いは、「部下のやる気をどう引き出すか」の違いに起因している気がします。経験上のアドバイスを加味しながら、部下のこうした気持ちを損なわないで十分にやる気を引き出してやることこそ、リーダーの仕事なのだと思います。

  


Posted by akroum at 09:24Comments(0)経営