2017年08月18日

競わせるより、「学ばせる」大事さ

 甲社では、最近の重苦しい状況を打破するために、かつて比較的大きな企業で、営業の最前線を担当してきた人材を招いて、営業力の強化を図りました。招いたのは、営業部長まで勤めた人材でしたが、あまり多くの年俸を用意する必要はなかったそうです。
 しかも、当初は従業員にも好評でした。それは、今まで社長の直属だったから、話さえ聞いてもらえなかったけれど、今度の部長は小さな相談にものってくれるというものだったのです。
 現場での直接指導を任せたかったA社長には、従業員の反応は好都合でした。ところが、そんな好ましい関係は、長続きしなかったのです。

 親身に話を聞いてくれる新営業部長は、同時に個人別に営業成績グラフを掲示することも忘れませんでした。
 アメ(相談にのること)とムチ(成績を明瞭にすること)によるモチベーション管理とでもいうのでしょうか。
 しかし、よくある「成績グラフ」は、半年もたたないうちに、行き詰まってしまいます。
 業績も、新部長就任以前より悪化してきました。


 営業部長に注意を促しても、「やはり中小企業ではダメか。前の企業では当たり前だったのに」と、問題を過去の成功にすりかえてしまうだけで、改善する様子を見せません。
 厳しい時代の「奥の手」として、輝かしい業績を残した優秀な人材を招いたはずなのに。 A社長は、そんな苦々しい経験の後、営業部長に退社を促し、直接組織の建て直しに取り組みました。

 営業部長が、かつて活躍した頃は、、市場が右肩上がりに拡大した時代で、ガンバレばそれなりの成果が出る方が自然だったのです。
 もちろん、右肩上がりの時代にも、そのガンバリの深さや大きさで、様々な差が出ました。しかし、成果に差があっても、適切なガンバリには何がしかの成果がついて来たのです。
 しかし、今日では、いくらガンバッても、それが成果につながる保証はありません。
 そんな状況の中で、ムチを打っても、誰も走ることはできないでしょう。営業部長は、相談にのってくれる人でしたが、その相談から得られる回答は、今の環境からかけ離れた大きな組織での体験談であり、聞く側には、ほとんど理解できなかったのです。

 あれこれ悩んだあげく、A社長は1つの行動に出ることにしました。その行動が、その後の展開に大きな影響を与え、徐々に人材に活力が戻って行ったそうです。
 A社長が最初に取り組んだ「行動」とは、できるB君とできないC君の営業活動の比較でした。
 どこからどのように「見込み客」を見つけ出し、その見込み客にどんな資料とどんなトークで働きかけ、どんなタイミングでどれだけの頻度で訪問しながら、どんなキラートークでクロージングをかけるのか、時には同行しながら把握することに努めました。
 もちろん営業活動中だけではなく、朝や夕方の会社での過ごし方や、趣味の持ち方まで、こと細かく比較したそうです。


 観察結果として、A社長は、「こんな対象に、このタイミングで、この資料をぶつけ、こんなトークをして、この反応を得た時に思い切ってプッシュする」という類の「営業ストーリー」を作ることができました。確かに自分の若い頃とは世の中が変わっており、驚く部分もありましたが、営業の本質は、大きく変わっているとは言えません。
 A社長は、ストーリーを全て営業ツールとして文書化するとともに、トークなどを全員に教えることとしたのです。

 社長が作った営業ツールとトークなどによって、全員がB君のような成績をおさめ始めたわけではありません。ツールやストーリーなどを高いレベルで揃えても、各人の成果には差が残ります。
 しかし、A社長によれば以前よりはずっと差が小さいし、C君までもが問題児でなくなっただけで成果は十分大きいということです。
 ただ結果ではなく、A社長の検討過程にある重要な要素に、私たちは注目する必要があるでしょう。

 今日のように、競争が激しくなると、努力の割には成果が出にくい、なかなか思い通りの成果は出ないということです。
 ところが、今まで当たり前のことができない人が、できるようになるなら、そこには大きな飛躍が生まれます。そして、すでに10の業績を挙げている人に11を求めるより、3の業績しか挙げていない人に、5を求めるほうが、組織全体の成果の増え方は大きくなるのです。難しい時代ほど、底上げが必要だと言われるのはそのためでしょう。
 全員を競わせて、競い合いに強い人だけを伸ばそうとするのではなく、できる人からできない人が学んで、そのマネをする方が、より効果的であるケースが少なくないからです。

 組織内部で競い合って、一番二番を争っても、船全体が世の中の大波にもまれて漂わざるを得ないのが、現代です。
 厳しい環境の中では、競い合いで組織構成員がお互いに力を消耗し合うのではなく、よいところや活動パターンを学び合って、結果として組織全体のパワー向上を達成するという考え方が、ますます重要になるでしょう。

  


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2017年07月20日

部下から見た上司と二人の課長

 いわゆる中間管理職とは大変な仕事です。上からは結果を求められ、そのために自分に過重な労働を課し、体を壊してしまう例も少なくありません。また、仕事をうまく切り回すために、下に対しては人間関係を工夫する必要もあるようです。
激励、叱責、称賛……と、アメとムチはさまざまに使い分けられます。
 それでもなかなかうまくいかないのが、まさに中間管理職の仕事の大変さと言えるでしょう。
 実際、部下は上司をシビアに見ているものです。
 そこで上司の頑張りを無駄にしない部下のやる気の引き出し方について考えてみます。

 A社は食品を扱う商社で、営業部は30名と大所帯で、これは全社員の約6割を占めます。そして営業部はその扱う商材によって一課と二課に分けられているそうです。
 それぞれの課を束ねるのがB課長とC課長です。商社にとって営業職は非常に重要な役割で、A社の将来は二人の課長の双肩に掛かっているというのは、全社員にとってある程度共通した認識でした。
 そんな重要なポストを任されている二人ですから、共に仕事ができるのは言うまでもありません。

 ただ大きく違ったのは、仕事の進め方でした。

 一課の商材の営業には「攻めの姿勢」が必要なようで、B課長は社内ではイケイケの性格で知られています。
 一方、二課長の椅子に納まっているのがC課長であり、扱っているのは、非常に需要は多いのですが、それだけに競争は激しく、取引先との密な連絡は欠かせません。
 C課長は、綿密さを要求される仕事に打ってつけの人物と社内で目されています。


 A社では、営業部長が来年には定年を迎えるため、次にそのポストに就くのはB課長かC課長であるのは明らかで、この出世レースは社員たちの関心の的になっています。
 二人を課長に抜擢したのはA社長ですから、彼らの性格はよく知っているつもりです。しかし、課長に登用した最大の理由は、二人が「必ず結果を出す」ことでしたから、改めて、「経営幹部としてどちらがふさわしいか」という観点で見てみると、判断材料に乏しいことにA社長は気づいたそうです。

 そこで再度彼らの仕事ぶりを見極めてみようと思い立ったのです。
 評判にたがわず、B課長の働きぶりはエネルギッシュそのものです。部下への指示も素早く、的確であるとA社長の目には映ります。
 一方、C課長の仕事の進め方はというと、ある意味でB課長とは正反対であると言えそうです。明らかに書類に目を落としている時間が長く、部下を呼びつけたと思ったら、椅子を勧めて何やら20分も30分も話し込んでいます。
 スピード感という点では、どうやらB課長に軍配が上がりそうですが、そう簡単に判断は下せません。

 ここでA社長は、「経営幹部にふさわしいのは」というのが観察の目的であったことを確認します。「経営幹部に」ということならば、彼らの周辺にまで目が向けられて然るべきです。
 以来、A社長の目は二人の課長の部下へと向けられることになりました。そうして視線をずらしてみると、思いがけないものが見えてきたそうです。
 それは決して小さなものではありませんでした。
 一見すると、一課の社員たちはB課長の覇気に引っ張られて精力的に動き回っているように思えます。しかし、さらに綿密に観察してみると、部下たちは「B課長の言う通り」に動いていることが分かります。
 他方、C課長は部下に対して、いわゆる「命令」という形を取っていません。部下とのやり取りの中で答えを見つけていくのが彼のやり方のようです。


 その様子と比べてみると、一課の社員たちの表情は情熱的なようで、その実、テンパッているだけのようにも見えます。よくよく眺めてみると、一課員の働きというのは、B課長が頭に描いた通りの結果であって、それ以上でも以下でもありませんでした。
 しかし、二課の場合は違いました。C課長と部下とで練り上げた計画以上の成果が、時にもたらされたのです。
 この違いにA社長は着目せざるを得ませんでした。

 それは「部下への接し方」でした。C課長のやり方というのは、まずは「部下の考えを全面的に受け入れてみる」というものでした。
部下が自分で納得した上で違う方法をとるよう促していたのです。
 命令、強制を基本とするB課長との一番の違いはここですが、ノルマをこなすことに必死な一課員と伸び伸びと成果を出す二課員にこそ、最大の違いを認めたのでした。


 「会社の将来」を考えた時、リーダーがいなければ動けない社員、リーダーの思惑を超えて結果を出してくる社員、この違いを見れば結果は自ずと明らかなような気がします。こうした違いは、「部下のやる気をどう引き出すか」の違いに起因している気がします。経験上のアドバイスを加味しながら、部下のこうした気持ちを損なわないで十分にやる気を引き出してやることこそ、リーダーの仕事なのだと思います。

  


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2017年06月20日

もっと女性の力を活用できないか

  日本で進行中の「少子・高齢化」に対する警鐘が鳴らされるようになって久しく、その影響は社会保障費の大幅増といった視点で語られることが多いようです。
 それだけでなく、この少子・高齢化はまた別の問題も生じさせます。それは将来における労働力人口の減少です。少子・高齢化は長期的に見れば、仕事から引退する人が新たに働き始める社会人より多い、という状況ですから、平たく言ってしまえば、働く人が減るということになります。
 本格的な少子高齢化社会を迎える中で、就業意欲のあるすべての人が就業できる環境整備が課題となっています。
 そこで、少子高齢化が進行する中、「女性の能力活用」について考えてみます。

 A社は、紙製品の卸を営んでいる会社です。現在は二代目のA社長が跡を継いでおり、地元では老舗として知られています。
 しかしながら、老舗ならではの苦悩というものがあるのでしょうか。A社長がここ最近感じていたのは、一言で言ってしまえば「閉塞感」というもので、どこか組織が目詰まりを起こしているのではないかという気がずっとしていたそうです。
 A社は老舗だけあって、どちらかといえば保守的な会社で、通常の業務に男女の区別はないのですが、重要なポストのすべてを男性社員が占めています。言ってしまえば、男性優位の会社だったということです。
 A社長が跡を継いでからも、職制をいじることはしませんでした。
 しかし「このままでは早晩立ち行かなくなる」というのが、今やA社長の率直なところになっていました。
 というのも、ものになりそうな新商品を見つけてくるのは、ほとんど女性社員です。「わが社には優秀な女性社員が多い」というA社長の認識は強まっていきましたが、管理職は男性ばかり。優秀な社員が能力を発揮できていない状況を見るにつけ、これまで手をつけてこなかった職制を変えるべき時が来たと感じていたのです。

 その改革の手立てというのが、女性社員の管理職登用でした。
 といって、簡単に行かないのはA社長には十分に予想できました。男性社員の反発も考えられます。出産、子育てを支援する制度も必要になるでしょう。
 そこでまず、A社長は女性社員を管理職に登用していくこと、それと並行して女性がもっと働きやすくするための出産、子育支援制度を全社員に向けて発表したのです。
 これは、A社長にとっては、もっと仕事をがんばりたいと思っている女性社員にも歓迎されるだろうと考えていました。

 ところが、です。
 制度導入から半年、女性管理職を目指そうと自ら手を上げた社員は皆無でしたし、A社長がかねてから評価していた複数の女性社員に「管理職を目指してみないか」と水を向けてみても、返ってくるのは辞退の声ばかりだったといいます。
 
彼女たちが口を揃えて言うのは、「実際、仕事と家庭を両立している女性管理職は、まだ会社にいないので、 そうなるとやっぱり不安になる」ということでした。
 こうした事態は、さすがにA社長も予想していなかったようです。もちろん「制度を利用しろ」と強制するわけにもいかず、どうにも八方ふさがりの日々が続いたのです。
 そこでA社長は、支援制度を利用しながら仕事と家庭を両立させている女性を、まずは自分で探してみようと思い立ったといいます。
 つてをたどってみると、同じ県内にその会社はありました。女性をうまく活用している会社として何度もマスコミに取り上げられたことがあるのが、そのB社だったのです。

 A社長は早速、先方に話を通し、幹部と連れだってB社を訪れました。女性幹部(Bさん)との面談はA社長にとって有意義なもので、とんとん拍子にA社の女性社員と懇談会をもつ話がまとまったといいます。
 そして懇談会当日、Bさんの実体験が話された後の質疑応答で、女性社員たちから矢継ぎ早に質問が出る光景に、A社長は「わが社の女性たちはこんなに不安を抱いてたんだ」と実感したそうです。
 こうしたことを何度か繰り返し、A社長自身も女性社員から直接話を聞いて、最終的にA社長が考えたのは「働きながら幸せになれる」と思えるような会社にしようということでした。

 そのためには女性を支援する「制度」だけでは不十分なことは、今や明らかでした。考えてみると、これまでは育児休暇にしても、短時間労働にしても、そうした女性の働き方を「許容する」という意識だったことにA社長は気づいたそうです。
 そうではなくて、本当に女性の力を活用したいなら、そういった働き方を「評価する」
ことこそが必要であると思い至ったというのです。すなわち、A社に必要だったのは「文化」だったというのがA社長の答えです。

 現在のA社はまだ試行錯誤の中にはあるそうですが、はっきりと変わったのは、女性社員の離職率が格段に下がったことで、どうやらA社初の女性管理職誕生も近そうだということです。
 ここで重要なのは、A社長がなぜ上記のような施策に取り組んだのかをもう一度確認しておくことです。それは会社を強くするために、それが必要だったからに他なりません。
 働きたいと思っている優秀な女性が、仕事と家庭の両立が難しいという理由で会社を辞めてしまうのは、本人にとっても会社にとっても、いかにももったいないことです。
 もし子育てによって短時間しか働けないとしても、そうした状況で働こうとする女性は、その限られた時間で懸命に成果を上げようとするはずです。

 「女性が定年まで働ける環境」という考え方は、これまであまり中小企業には取り入れられてこなかっただけに、それをうまく「企業文化」とできるなら、その成果は余計に著しいのではないかと考えるのです。
  


Posted by akroum at 08:25Comments(0)人事・労務

2017年05月22日

「イエスマン」の問題は組織活力喪失の問題

 イエスマンとは上司や先輩など自分にとって影響力のある人や権威のある人に対してご機嫌取りをする人の一種で、目上の人からの頼まれ事や意見に対して「はい」「いいですねえ」といった肯定的な返答しかしない人のことです。

 もう随分前の話になりますが有名な老舗料亭での「食べ残し食材使い回し」が問題になりました。先の客が残した料理を、次の客に出すという話です。
 この問題は組織経営の視点に立てば、一般に取り上げられている問題以外のところに、非常に重要なポイントがあるように思えます。

 あるコンビニエンス・ストアで働くAさんは、前職の時から「仕入れ」に興味を持ち、コンビニでは「端末機」から、直に発注できるという仕組みを非常に気に入っていました。そして、店長の許可を得て、まさに肌身離さず端末を(店内で)持ち歩く日々が始まったのです。
 そのおかげで、弁当は季節色豊かなものに徐々に変身し、チクワやカマボコなど、女性が帰路に買う人気の食材も増えて行きました。店長は、Aさんのそうした姿勢が頼もしく、ずいぶんと頼りにしていたようです。

 しかし、「春の行楽弁当」を仕入れ過ぎ、大量の「廃棄」を出してしまいます。特に、通常弁当の2倍近くする行楽弁当は、売れ残りで大きな損につながりました。
 売れ残りの要因は天候不順ですが、オーナーにはそうした「リスクをとる」姿勢が気に入らなかったのです。Aさんには菓子類の発注以外を禁止し、自ら弁当や惣菜を仕入れることにしたそうです。
 ところが、今度は弁当類の売上がピタっと止まります。
 それは、一言にすれば「壮年男性感覚で選ぶ弁当」が、OLにそっぽを向かれ、近所の別のコンビニに客を奪われていったからのようです。オーナーもすぐに、そのことに気付きます。そしてAさんに、再び弁当の仕入れを依頼しました。
 ところがAさんの答は「ノー」でした。自分が失敗をしたら店に迷惑をかけるし、今後うまくやる自信がないと言うのです。元気よく端末を持ち歩いていた時とは、もはや別人でした。「責任は問わない」とオーナーが申し出ても、うつむくのみで、結局店を辞めてしまったのです。

 Aさんが別人になった背景は、「行楽弁当」仕入れでの失敗が、Aさんには耐えられなかったようです。特に、退職金で店の権利を買ったオーナーに「迷惑」をかけたという思いは、その後の行動を「委縮」させるのに十分なほど重かったのです。
 迷惑を受ける人が「特定」されればされるほど、私たちは慎重、あるいは臆病になります。漠然と組織が迷惑を受けるなら平然としていられても、目の前の人が痛む時、行動力が想像以上に害されるということです。いったん、そんな意識を持ったAさんは、仕事に向かう「元気」を失って、別人になってしまったのです。


 老舗の厨房でも、同様のことがあったかも知れません。もし現場責任者が「経営が苦しい、何とかしなければ厨房のB君とC君が職を失う」という、具体的な対象が見える強迫観念にかられたとしたら、経営者の言葉に「反論」する元気がなくなってしまうこともあり得るのです。
 こうして「イエスマン」が生まれます。そして一度、自分の気力や価値観を捨てて「イエスマン」になってしまったら、自分の思考を一切止めて命令にのみ従うことになりがちなのです。ただ、厨房はすぐに「イエスマン」になったのでしょうか。これは推測ですが、最初は「反抗」したの゛はないかと思います。ところが「大切なモノ」を見つけ出すことができなかったため、徐々に「イエスマン」に追い込まれて行ったのではないかと考えられるのです。もし「大切なモノ」がもっと早く見つかっていたら、深刻な事態には至らなかったかも知れないからです。
 では、その「大切なモノ」とは、いったい何なのでしょうか。

 見つけるべき「大切なモノ」とは、「工夫」です。

 「イエスマン」とは、工夫を見つけられず、工夫すること自体を「あきらめた」人材のことだと言えるかも知れません。経営者の指示に従うのは、指示に納得しているのではなく、考えることを止めてしまっているからに他ならないのです。

「イエスマン」問題は、工夫の放棄による組織活力の喪失問題でもあるわけです。

 では、どのようにすれば従業員の「イエスマン」化を防止できるのでしょうか。それは「工夫」というキーワードを通じて組織内の連携を深めることでしょう。たとえばコンビニ・オーナーが売れ残りを減らす工夫を一緒に考えてくれないかと依頼すれば、Aさんの態度は変わったかも知れません。経営者と従業員の「工夫の連携」が生まれるからです。

 
ただし「イエスマンではダメだ」と言うと、勘違いしてむやみに「反抗」したり「お友達感覚」で経営者と接したりする人材も出てしまうかも知れません。
 しかし、そんな時でも命令や叱責で上から押さえつけるのではなく、適切な「規則やルール」を作って「規則が守れるように工夫しろ!」と命じる方が、効果的な場合が多いのです。命令する際にも「工夫」というキーワードを外さないことは、案外重要なのかも知れません。  
   

  


Posted by akroum at 08:39Comments(0)経営

2017年04月21日

社内トレーナーの育成

 A社は原料高の製品安という状況の中でも、順調に売上は確保してきたといいます。しかしながら、競争の激化とともに、いよいよ売上の減少が明らかになると、最初に声を上げたのは営業の中堅社員達だったそうです。
 それは、「会社が苦しいのは分かっている。それだったら、かなりの時間を割いている社内研修を何とかしたらどうだろうか。正直なところ、研修に時間を取られるくらいだったら、それを営業に振り向けたい」というものです。
 売上が落ちてまず突き上げを食うのは営業ですから、それを先回りした言葉だったのかも知れません。けれども、そこには研修制度自体に対する中堅社員の不満があったというのが根本だったようです。というのも彼らは、かねてより会社が実施する研修の必要性を疑問視していたからです。

 A社の研修制度は、若手社員、中堅社員、幹部社員向けと対象を分けて行われています。
 中堅社員に対しては外部の講師による自己啓発が研修の中心だったらしく、それは最前線で働く彼らにとって「理想論」でしかなく、会社の命令だから、出席せざるを得ないという程度のものに過ぎなかったようです。

 定期的に開催していた中堅向けの研修が棚上げされたことで、営業に時間的な余裕が生まれたのは確かだったようです。しかし、時を経てみると、予想していなかった弊害が社内で見られるようになったといいます。それはまず、若手社員の研修軽視となって表れたそうです。「上がやってないのに何で自分達ばっかり」というのが彼らの言い分で、研修中の態度は明らかに「やらされている感」が強くなっていったそうです。
 のみならず、研修がなくなったことで、営業に集中できるはずの中堅社員の成績も、半年経ってみても成果は芳しくありません。

 A社が閉塞感に包まれる中、A社長は発端となった中堅社員達を会議室に呼び出して、率直に「どんな研修だったら役に立つと思うのか」と訊いてみたというのです。
 社員達がとつとつと話し出したのは、「もっと実践的であれば」というもので、その回答にA社長はしばらくの沈黙のあと、「それなら自分達でテーマを決めて、自分
達の手で研修をやってみないか」と提案したそうです。それは、研修制度を再見直しするという社長の意思表示です。リーダー格のBさんを講師役に指名すると、1カ月後の開催を言い置いてその場を後にしたそうです。

 最初は途方に暮れていたBさんでしたが、日頃から自分の課題として取り組んできたものにテーマを絞り、Bさんの選んだテーマは「いかに顧客単価を上げるか」というものだったそうです。それが身近なものであっただけに、研修は他の社員からも関心を得、好評を博する結果だったといいます。
 この研修の成功がBさんにとって嬉しかったことは間違いありませんが、それ以上に、1カ月間夢中で研修準備の作業に没頭していたことに対する驚きと充実感のほうが、大きかったというのです。

 Bさんが今回の件を通して強く感じたのは、「興味のない研修に受け身で参加するよりも、社員が積極的に研修に参加できる体制作りが大切なのではないか」ということだったようです。
 Bさんによれば、最初は社長命令だったとはいえ、次第に知識の習得にのめり込みそしてさらには、その学んだ知識を他の社員に教えるという行為の楽しさに気づいたという体験が、Bさんにとって一番の成果であったというわけです。


 以来、社員が講師となって行う研修スタイルは、持ち回りでA社に定着し、最近では「社内トレーナー制度」にまで発展しているそうです。
 しかしながら、任命された社員にとって、講師になることは、新たな負担(通常業務との兼任)ですから、多少の手当をつけているそうです。
 また、トレーナーとして教える内容は自分のキャリアプランに合致したものが選択でき、そのためにかかる経費は会社が負担するといった工夫がされているといいます。

 経営環境がめまぐるしく変化する時代だからこそ、「強い組織」をつくるための教育体制の整備は重要な経営課題です。
 投資にゆとりがなくなる状況においては、単にコスト削減により社内研修を減らしてしまうのではなく、研修の内製化、「社内トレーナーの育成」という視点で社内の教育体制を見直してみることも意味のあることだと思うのです。

  


Posted by akroum at 18:11Comments(0)経営

2017年03月20日

就業規則は風土そのもの

 厚生労働省の「平成27年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(平成28年6月8日)によると平成27年度は、前年度と比べ、総合労働相談の件数が微増、助言・指導申出、あっせん申請の件数が減少していますが、ただし、総合労働相談の件数は8年連続で100万件を超え、高止まりしています。

 このような状況を踏まえ、労使トラブルを未然に防ぎ、会社を思わぬ危難から守るために「就業規則」を重視する経営者も増えてきています。
 しかし、就業規則の意義は労使トラブルの防止に止まりません。A社で起こった事件を取り上げながら、就業規則の可能性について考えたいと思います。


 A社が不動産の仲介・管理業を始めて40年以上が過ぎています。今では地域一帯でA社に対する信頼は厚く、街のあちらこちらでその物件がA社の管理の下にあることを示す看板を目にすることができるほどです。
 現在の代表はA社長。3年前に先代が突然に亡くなり、その跡を継いだ形です。
 しかし、それよりずっと以前からA社長はA社に入ってこの仕事についていましたので、代替わりはスムーズだったそうです。
 会社の内容は契約件数の減少、家賃の滞納など、問題がないわけではありませんが、A社は手堅い商売を続けてきました。

 そのような中、A社を定年退職したベテラン社員Bさんから「法外な」退職金を請求されて困っているというのです。A社は中退共(中小企業退職金共済)に加入していて、Bさんにはすでに中退共から退職金を支払い済みです。
 ところがBさんから、それとは別に就業規則に定めた退職金規程に基づいて、一時金を満額支払ってほしい旨の配達証明郵便が届いたというのです。
 しかし、A社長は就業規則にある退職金に関する定めはおろか、就業規則そのものの存在さえ知らないといいます。
退職間際、Bさんが退職金のことを口にしていましたが、A社長は当然、中退共のことだろうと思い、気に留めていなかったので、突然、配達証明郵便が届いてびっくりしてしまったというわけです。


 即刻、Bさんの携帯に電話をして事情を確かめてみたそうですが、ちゃんと退職金を払ってほしいと繰り返し、就業規則に書いてあるのだから、と断固たる態度だったといいます。
 A社長の話では、Bさんは自分が就業規則作成時の従業員側の中心だったから、その内容もよく憶えていると言っていたそうです。
 一方、A社長はそんなものは知らない、の一点張りです。
 しかし、本当に就業規則があり、退職金に関する定めがあるとしたら、従わなくてはいけないことは明らかです。何はともあれ、就業規則の存在の確認が先決と探してみることにしました。
 社内をくまなく探したところ、総務部の書庫の片隅から就業規則が出てきたそうです。確認してみると、たしかに退職金の定めも記載されていて、Bさんの請求額は適正なようです。
 どうやら、その就業規則は先代が景気も良く、今よりも従業員が多かった時代に作成
したもののようです。
 ですから、その記載に従った額をこの時期に支払うことは、大変な痛手でした。しかし、退職者とのトラブルを避けたい、というA社長の思いもあり、支払うことにしたのです。

 以来、A社長は就業規則の見直し作業に取り掛かったそうです。
 今回の事件の引き金でもあり、また会社の現在の経営状況に不釣り合いということで、最初に手をつけ始めたのは退職金に関する項目でした。
 A社長とすれば、退職金の額を少しでも抑えたいというのが正直なところです。とは言っても、そう簡単に退職金の減額に関して従業員から同意が得られるとも思えません。従業員との話し合いには、経営者としての熱意と真摯な姿勢が求められます。


 考え抜いた末にA社長が出した結論は、労働条件の改善でした。A社では成約に至った際、その契約金額の一定割合を歩合給として支給していますが、その割合を高めようというものです。もちろん、全社員が対象です。
 これを材料として、A社長は従業員との話し合いに臨みました。就業規則の現況、そして変更したい点をまず説明しました。従業員が一斉に難色を示したのは予想されたことでした。
 そこでA社長は会社の経営状況を包み隠さず開示し、その上で労働条件の改善についても言及したそうです。しかし、もちろんその場で結論が出るはずもありませんでした。結局、1カ月に及ぶ話し合いの末に、従業員の同意を取り付け、就業規則の変更はなされたのでした。

 この後、A社長にはまた別の考えも浮かんでいたそうです。
 つまり、たしかに就業規則は会社を守ってくれる側面もあるが、従業員にもっと元気に働いてもらうためのものとして機能させたいという考えです。
 その時、A社長の念頭にあったのは、Bさんが退職する際にまとめて取った有給休暇だったそうです。

 法律的には辞める際にまとめて有給休暇を取得することは拒否できませんが、このことは労使双方にとって特段の利益があるとはA社長には思えませんでした。
 有給休暇で従業員に元気を充電してもらい、その活力を会社に持ち帰ってほしいというのが、この1カ月就業規則と向き合ってきたA社長が有給休暇に求める思いでした。
 そこで早速、勤続1年以上の従業員を対象に、強制的に連続5日間の有給休暇を取得させる制度を従業員に提案したそうです。

 仕事の遅滞を理由に反対の声もありましたが、うまく前後の週休とくっ付ければ9連休は魅力です。
 導入を進めるため、この制度をまず管理職から利用させたそうです。最初は文句を言っていた彼らも、休み明けのその表情は例外なく晴れ晴れとしていたといいます。
 その空気は他の社員にも伝染していったというのがA社長の感想です。そして、「これが求めていた雰囲気だ」と確信したそうです。


 A社長の言う「雰囲気」とは、時が経てば「風土」となっていくのでしょう。
 就業規則には労使トラブルを未然に防ぐという大事な機能がありますが、それだけに止まらず、社員のモチベーションを上げるという機能を付加することも、やりようによっては十分に可能です。

 
しかしそれは、他の会社のものを流用しても、到底実現できません。どんな会社にしたいか、何を成し遂げたいか、つまりは経営理念と照らし合わせて就業規則を熟慮してみてはいかがでしょうか。 

  


Posted by akroum at 09:25Comments(0)就業規則

2017年02月23日

「残業」という視点から

 「労働生産性の国際比較2016 年版」によると、日本の労働生産性は、OECD加盟35カ国の中でみると20位。前年(21位)より1つ上昇したが、統計で遡れる1970年以来、主要先進7カ国の中では最下位の状況が続いています。

 労働生産性とは「資源から付加価値を生み出す際の効率の程度」のことですから、日本の場合、一定の資源から生み出される付加価値がそう高いレベルにないということになります。
 世界的に見て高水準にある日本の人件費とその働き方が影響しているだろうということです。経営環境は大きく変わってきているのに、日本人の働き方はそれほど変わっていないのかも知れません。
 そこで 「残業」という視点から、仕事の効率化と付加価値について考えてみたいと思います。

 A社に勤めるBさんは一昨年に男児を出産し、母親としての喜びを感じているはずでした。ところが、どうにもそうはならない事情があったらしいのです。
 
 A社の中でBさんは企画、デザインの分野を担当しており、その発想力、企画力は周囲も認めるところです。しかし、ある一つの制約がBさんを社内で浮いた存在にしていたというのです。
 その制約とは子育てでした。子供がまだ小さかったため、Bさんは残業ができない状況にあったのです。
 残業はしないで息子を保育園に迎えに行くというのがBさんの方針でした。こうしたBさんの働き方も普段は何の支障もありませんでしたが、繁忙期、あるいは注文が集中した場合はそうはいきません。
 周囲が残業している中、一人そそくさと退社するわけですから微妙な空気が流れます。
には出しませんが「この忙しいのに一人だけ帰るの」といった社員達の意識をBさんはひしひしと感じていたそうです。


 そうした状況下、A社長の奥様が突然の入院をすることになりました。これまで家事全般を一手に引き受けてきた夫人の不在は、A社長の生活を一変させたといいます。
 まず入院という事情から、朝夕の病院通いがA社長の日課とならざるを得なかったようです。
 といって社長業を疎かにするわけにはいきません。
 そこでA社長は、朝夕に自分が会社にいられないことを埋め合わせるため、社員一人ひとりに、始業前に一日の業務予定メール、終業後に業務報告メールを携帯電話に送らせるようにしたそうです。
 携帯メールを使ったのは、電話で話せないという病院事情からでしたが、やってみると字数の制限とA社長を無用に煩わせないようにとの社員の配慮からか、状況を非常によくまとめたメールが届くことにA社長は感心したといいます。

 この方法はうまく回っていたようです。
 予定メールには業務の優先順位、それぞれの仕事にかかる予定時間、報告メールには予定と実際の差異を付記させるようにし、A社長はそれに経営者としての判断を返信するようになっていったといいます。
 このような中、A社長は、ふとあることに気づいたそうです。
 それは、自分が会社にいる時より、皆の仕事ぶりが把握できているのではないだろうか、ということだったそうです。
 同じ空間で仕事をしており、A社長は社員の仕事ぶり、進捗具合を十分に把握していると思っていたのです。しかし、それは節目の納期レベルでの把握でしかなく、日々彼らが何を目指し、どんな仕事をしているか、実は分かっていなかったことを痛感したといいます。

 A社長は、携帯に送られてくる日々の仕事の段取り、社員の自覚といったことを思い浮かべながら、社内の改善すべき点を考えたとき、図らずも思い浮かんだのはBさんでした。
 つまり、「もしかして我が社でいちばん効率的に働いていたのがBさんだったのでは」と思い至るようになったというのです。と同時に、我が社は自分が思っているより、効率的に働けていないのかもとも。Bさんは残業なしに他の社員と遜色ない仕事をしていたのですから、実際そうだったのでしょう。

 そこでA社長はBさんに仕事の進め方について説明を求めたそうです。
 すると、A社長は思いもよらないものを見せられたそうです。それはBさんのノートで、そこには、効率性向上に特化したノウハウがびっしりと書き込まれていたのです。
 いずれにせよ、この一事がA社長の仕事に対する評価、進め方を再考する確かなきっかけになったそうです。
 以来、A社長が取り組んだのは、Bさんを中心として、仕事の段取りの徹底的な見直しから進めたそうですが、その過程で目に見えて残業が減る一方、仕事の達成率が下がらなかったことに社員も驚いたそうです。

 A社長がいま感じるのは残業自体を減らす努力は、企業としての競争力を高める効果があるのではないかということだそうです。
 実際A社では、ムダな労働時間を減らし、浮いた時間を各人が新たな知識の吸収・経験に振り向けています。
 経営環境は日々変化しています。それなのに昔のままの労働スタイルでこれからも競争を勝ち抜いていけるでしょうか。 10年後、同じ働き方で通用するのでしょうか。
 付加価値の向上は、労働時間を延ばすことだけで達成できるものではないと考えます。
 残業をめぐるトラブルが多い昨今、そうしたトラブルを避けながら企業価値を高める方策を考える時期が来ているのかも知れません。 
  


Posted by akroum at 09:07Comments(0)経営

2017年01月23日

総務の底力

 あるアンケート調査によると、日本企業の経営課題は「収益性向上」、「売上・シェア拡大」が圧倒的という結果だったそうです。
 こうした結果からも、経営者はすでに「収益性の向上を図りながら、売上・シェア拡大」を実現するための取り組みに着手していることは容易に推測できます。
 そうであるなら、さぞかし会社は活気に溢れているだろうと想像しますが、実はそうでもないというのが実情のようです。

 いずれにしても、会社に元気がなくては、何事もなし得ないばかりか、対外的にも魅力的な会社とは映りません。
 会社に元気がないばかりにさらに売上を落とすという「負の連鎖」に陥ってしまう恐れも否定できないのです。その根拠がどこにあるにせよ、元気のある会社には魅力があるものです。

 そこでA社長がまず考えたのは、自分自身がこれまでの考え方を変えなくては、会社は何も変わらない、ということだったそうです。
 熟慮の末、A社長の頭に浮かんだ着想とは「総務の力を発揮させられないものか」というものでした。

 総務というと、まず「会社の縁の下の力持ち」といったイメージがあるかも知れませんが、A社長もそれは変わりませんでした。
 「会社に元気を出させる」という漠然とした仕事を、ただポンと投げたってうまくいくとは思えません。
 そこでA社長は総務部門の面々に現在の心境を率直に打ち明け、話し合いの場を持つことから始めたのです。
 そのテーマのつかみどころのなさに、最初は総務部門も戸惑いましたが、会議を重ねるうちにA社長と総務の視点の違いもはっきりとしてきました。
 つまりA社長としては、いくら売上が安定していても、経営のスリム化は切実な問題ですから「コスト削減」が念頭にありました。
 一方で総務の意見として、そればかりが前面に出てしまうと経営者の立場の一方的なごり押しと映り、逆に社員の
元気を奪ってしまうのではという危惧が指摘されました。
 両者の言い分を同時に解決するのはいかにも難問ですが、突破口はある営業社員の電話での一言にあったといいます。

 それは「先月と同じでお願いします」という一言でした。

 たまたまその場に居合わせた総務部員が耳にしたのですが、前後の状況から、どうやら電話の相手は仕入れ先の一つと推察されました。
 確認してみるとやはりその通りで、内容は今月分の食材の仕入れ値についてだということでした。
 総務部員にすれば、まったく交渉の気配もなかった電話には大きな違和感を覚えたそうです。
 詳しく聞いてみると、仕入れ先のすべてが長年の付き合いで、毎月決まった分量を決まった値段で納入するという関係にあったことが分かりました。そうなっている理由には、新規の販売先開拓に忙殺され、営業社員の手がそこまで回らないという事情があることも判明しました。


 A社長にこのことを報告すると、それなら仕入れを総務でやってみてくれないかということだったそうです。
 総務部として、異存はなかったそうですが、そこには一つの条件が付されたといいます。 社内コミュニケーションの充実です。このまますぐに仕入れを総務が担当しますと言っても、営業にしてみれば、いくら手が回っていないとはいえ、土足で自分達の領域に踏み入られたようで良い気はしないはずです。
 そこを総務は気遣い、営業部への事情説明だけでなく、全社に向けた告知を、A社長を中心とした総務チームで行ったそうです。その準備期間は実に1カ月にも及び、営業・総務同士の話し合いも10数回にわたって重ねられました。
 事前に徹底した社内コミュニケーションが図られたおかげで引き継ぎに混乱はなく、また対外的な交渉においてはかなりの成果があったようです。
 一方で営業部も負けていませんでした。これまで以上に新規開拓に注力した結果、約10%も売上を伸ばしたそうです。

 こうした総務を中心に据えた一連の施策を通して、結果的に仕入れコストは削減され、他方で売上アップにもつながり、社内に活気が戻ってきたのは確かです。
 ただ、そうした結果の前提として忘れてはならないのが、社内コミュニケーションの拡充にあったというのがA社長の感想です。
 A社長は総務のコミュニケーション能力の高さに感じ入るとともに、その効力をもっと社内の活性化につなげようと新たな取り組みを始めました。
 それは全社会議の実施に始まり、社内報の刷新、社内SNSの導入など、つまり社内コミュニケーションのさらなる充実の試みが総務を中心に行われているそうです。
 社内のコミュニケーションが密になるということは、それだけで組織としての元気につながるというのがA社長の実感です。

 会社組織において、総務部門の役割は「縁の下の力持ち」と表現されることが多いのですが、これは全社の情報に精通していなくてはできないことです。
 総務にはそうした「地力」はすでにあるのですから、その能力をこれまでとは違った分野で活用してみることも一考の余地があると思うのです。
  


Posted by akroum at 16:05Comments(0)経営

2017年01月04日

時代が求める顧客満足度

 顧客満足度(CS)という言葉が一般的になって久しいようですが、近年はその重要性がとみに訴えられています。というのも、将来不安の中で、消費者の財布の紐は堅く、そうした状況下でモノなりサービスが選ばれるには、他社との差別化が必要で、そのカギを握るのがCSだというわけです。そしてCSと同時に語られることが多くなったのが、従業員満足度(ES)です。
  しかし、「顧客の満足度向上ならまだしも、従業員の満足度となると、そこに時間やお金を掛ける意味があるのか」と、そんな声も聞こえてきそうです。
確かに従業員を満足させても、会社がなくなってしまっては意味がありません。


 そこで、企業成長に必要だと思われる顧客満足(CS)と従業員満足(ES)の関係性について考えてみたいと思います。

 熱心にCSに取り組むA社では、A社長は自分の知識と経験を総動員して、全社を挙げてCS対策に取り組んでいるそうですが、どうも成果が思わしくありません。どうにもA社長が頭に描いているような活気が社内に見えない、ということらしいのです。

 A社長はかって大手の住宅メーカーに勤めていましたが、「顧客の思いに寄り添った家」を建てる会社を興してみたいという思いでA社を立ち上げたそうです。
 A社は中高級住宅を望む顧客をメインとしており、「顧客の思いに寄り添った」と掲げるだけあって、時には顧客のほうで「まだやるのか」と感じるほど打ち合わせの場を設けたそうです。
 もちろんそれは着工前だけでなく工事中も続きましたし、顧客の家に対するこだわりについても、どうしても無理という場合を除き、できる限りの配慮をしているそうです。
 そうした努力の甲斐もあって、どうやら顧客は念願のマイホームに満足してくれているようですが、A社長はまだまだ納得していないようです。何に納得していないかというと、A社長の理想とギャップが大きかったのは、従業員の働き振りだったといいます。
 簡単に言ってしまえば、顧客の喜びを自分の喜びとしている様子が見受けられないということらしく、こうした状況にA社長は言い知れぬ危機感を抱いていたといいます。

 A社長も、従業員満足度(ES)について知識としてはもっています。
 しかしながらESに対する従業員を不要に甘やかしたり、媚びて接待するようなイメージを拭いきれなかったために、これまでESに力を入れて取り組むことは、あえてしてこなかったそうです。

 ESについてちょっと触れておくと、ESとは従業員が仕事や職場に感じる満足度のことで、CSを向上させるための「前提」とも考えられているものです。


 A社長はこうした考え方を理屈では理解できるのですが、やはりどこかで納得できなかったそうです。
 A社長がESにあえて取り組まなかったのは、CSを追求することで、自然とESはついてくると考えていたからのようです。
 A社長にとって、「顧客の思いに寄り添った家造り」は非常にやり甲斐のある仕事でしたから、従業員たちもこの仕事に全身全霊で打ち込んでみれば、その楽しさが分かるはずだ。仕事に喜びが見出せないというなら、それはまだ本気になっていないから、というのがA社長の考えです。

 A社長の思うように従業員の士気が上がらない中で、ついに恐れていた事態が起こったそうです。士気低迷がA社長のもどかしさだけで済んでいるうちは良かったのですが、それが顧客からのクレームの増加という形で現れたのです。
 いずれも、打ち合わせへの遅刻、設計改善要望の放置など、欠陥住宅ほど決定的ではないにしろ、A社の信用問題に関わることに変わりはありません。
 しかも、当の従業員に遅刻の理由を問い質してみると、彼は「何度も打ち合わせをするのは無意味だ」と感じており、それで他の仕事をしているうちに時間に遅れたというのです。CSの一環である綿密な打ち合わせを、それを実現するはずの従業員が不要と考えていることにA社長は愕然としました。

 そこで急遽、A社長は会社のCS対策について、無記名アンケートを実施したそうです。 士気が低下しつつあることは認識していましたから、ある程度は覚悟していたものの、予想をはるかに超える結果に、A社長はかなりのショックを受けたそうです。
 「成約後の顧客に工事の進捗状況を知らせるメールを毎日送るように言われていたが、変化がなければ無意味ではないか」「打ち合わせは一度で済ませたほうがお互いのためではないか」等々。
 なかでもA社長が愕然としたのは「すべてにやらされている感があった」というものでした。
 従業員の本音を正面から受け止めるのは困難でしたが、A社長は初めて「本当のES」のヒントをつかんだ気がしたといいます。
 とにかく、A社長が感じたのは、従業員との意思疎通の必要性だったそうです。

 A社長は最近、ESについての考え方を改めたそうです。A社長にとってのESとは、組織としての絆を形成することだそうです。
 そのために経営者ができることは、従業員が取り組んでいる仕事にどのような意義があるのかを明確にし、その成果を最大限に引き出せるように支援し、その上で成果を正当に評価することである、と結論付けているそうです。

  


Posted by akroum at 08:46Comments(0)経営

2016年12月29日

忘年会~2016年~

今年も、残すところあと3日となりました。
仕事も今日で終わり。いよいよ年の瀬感が高まってきました。

今年の忘年会は
新しい試みで開催してみました。

それは・・・・
商品争奪!大ボーリング大会(笑)ですicon65

ボーリングなんて、何年ぶりでしょうか・・・
それでも、昔はそこそこのスコアだったし
まあできるだろう、と。
まさか、あんなにガーター出してしまうとはicon196

結果はさておき、
久々のボーリングを、みんな楽しみましたicon14

その後は、大宴会ですicon67
運動した後のビールicon151は美味い
お料理も美味しくて、大成功の忘年会になりましたicon12











来年もまた、頑張りましょうicon59







  


Posted by akroum at 13:38Comments(0)スタッフ日記

2016年11月22日

サービス残業-想像を超えた事態

「中小企業は社長で決まる」などと言われることがありますが、A社の場合もその傾向が少なからずあったようです。というのも、A社は5年前にA社長が独立して立ち上げた会社で、「自分が引っ張っていかなくてはいけない」という気持ちも強かったのでしょう、かなりのワンマン経営だったそうです。
 ただ、創業当初のメンバーはA社長の独立とともに一緒に付いてきた部下たちで、彼らはA社長の人となりをよく知っていましたから、極端なワンマン経営でも特に問題はありませんでした。むしろ、それがA社長の持ち味だと思っていたくらいです。

  問題が起きたのは、経営が徐々に軌道に乗り出して、新たに社員を雇う必要が生じてから後のことだそうです。新規採用した社員は3名。A社長自ら面接し、「うちは厳しいけど大丈夫か」との言葉にもひるまなかった若者でした。
 A社長の期待は裏切られることはありませんでした。夜遅くまで残って、先輩に負けじと働いていたのです。


 そのように、手が足りなくなるたびに新規採用をするようになってから2年ほどが過ぎたころでしょうか。トラブルは突然にやってきました。
 社員の一人(Bさん)が7月をもって辞めたいと言ってきたのです。ここまではどうということもない話です。ただBさんは、辞めるに当たって、ボーナスを支払ってほしいことに加えて、未払いになっている残業代を過去にさかのぼって支払ってほしいとの要求を突き付けてきたのです。未払いの残業代は200万円というのがBさんの言い分です。
 これにはA社長もカチンときたそうです。あれもこれも払ってほしいというのはA社長にしてみれば非常識な言い分に聞こえましたし、そもそも残業代は給料に含まれるということを、入社時にお互いに確認し合っていたからです。

 しばらく双方は自分の考えを主張し合ったそうですが、あまりにお互いの見解が違い過ぎることは明らかでした。
 こんな話し合いは無意味と感じたA社長は「ボーナスも残業代も払うつもりはない!」の一言で、その場を一方的に切り上げたといいます。

 A社長は最後の給料に10万円ほど上乗せして決着をつけるつもりだったようですが、事態はA社長の予想を超えて推移していきました。
 Bさんは未払いの残業代はかならずもらうつもりだと同僚に触れまわっていることが耳に入ってきたのです。
 そこでA社長はBさんを呼んでたしなめてはみましたが、当然の権利を口にして何が悪いと態度を改める気はなかったようです。こうなってはもはや雇ってはおけないと判断したA社長は、その場で解雇予告手当を払い、「もう明日からは来なくていい」と言い渡すところまで一気に進んでしまったといいます。

 厄介払いができたとホッと一息ついたA社長でしたが、Bさんとのトラブルは実はこれからが本番だったのです。
 内容証明郵便が届いたのは、それから約2週間後でした。
 初めてのことでしたのでA社長はまずそのことに驚いたそうですが、中身を確認してみてさらにびっくりします。
 未払いの残業代と遅延損害金、不当解雇に伴う損害賠償、賞与や未消化の有給休暇相当分の給与など、総額にして数百万円を請求してきたのです。正直、A社長はこれが現実に自分の身に降りかかった出来事とは信じられなかったそうです。

 書面にこそしていませんでしたが、そもそも毎月の給料は残業代を含んだものだということは面接の際に口頭で伝えてありますし、それに納得してBさんもこれまでの2年余りを働いてきたはずです。
 また、A社の場合、扱っている商品の性質上、夏が最も忙しい時期になるのですが、ボーナスは繁忙期を乗り切ったご褒美という意味が強いとの認識をA社長はもっていました。
 ですから、忙しいと知りつつ夏前の退職を申し出てきたBさんにボーナスを支給する気にはどうしてもな
れませんでした。


 さらに言うなら、ボーナス支給月の7月を前にしてBさんは解雇されて会社に在籍していないわけですから、ボーナスを払わなければならない理由は見当たりません。
 しかも、解雇予告手当として1カ月分の給料相当額は渡してあるのですから、何ら法的には問題ないというのがA社長の認識だったのです。
 ところが、Bさんの言い分はまったく違いました。残業代が給料に含まれることを納得していたわけでもないし、月100時間を超えることもある残業代を給料に含める給与体系など法的に認められないというのです。
 また解雇にしても、何ら解雇されなければならない事実はない不当なものだし、であれば7月末にもらえたはずのボーナスも支払われるべきというのがBさんの主張でした。


 結局、A社長とBさんとの間のトラブルは「労働審判」に委ねられることになりました。
 また、審判の結果が出るまでの期間には労働基準監督署の立ち入り調査もありましたし、是正勧告を経験することになりました。

 A社が就業規則を定めていなかったことが審判で不利に働いたことは間違いありませんし、A社長自身も会社の規模が大きくなっていったにもかかわらず、むかしのままの感覚で「社員は分かってくれている」と思い込み、就業規則を定めないままにしておいたのは自分の迂闊さだったと認めているようです。

 労使トラブルの半数以上は賃金をめぐるものです。残業代に関する取り決めも含め、就業管理を今一度見直してみてはいかがでしょうか。 

  


Posted by akroum at 12:02Comments(0)人事・労務

2016年10月24日

採用マーケティングセミナーの御礼

 採用マーケティングセミナー
 人材採用(新卒・中途・女性活用)のポイントは、無事終了いたしました。


 
とにかく人が採れない。いろんな相談をいただくんですが、採用がうまくいかない、応募者が集まらない、この悩み抱えている企業は本当に多いです。

 これから人が減る、若手が減るのに、一方で、採用の求人は年々増加しています。 
 このような中で会社が何の策もなく求人広告を出しても、求職者の方に気づいていただけるでしょうか。
 このセミナーではここを出発点として、応募者に認知させるためにはどうしたら良いのか。ここからスタートさせていただきました。
 
 今、スマホが人材採用を変えています。

 皆さんのお持ちのスマホが人材採用を変えているのです。
 れを、求職者の目線を、どうやって自社できちっと取り込むかということです。

 次に理解していただきたいのは、採用をパーツで考えない。
 採用を採用だけで考えるという考え方は非常に危険です。
 採用というのは、いろんな価値と連鎖しているのです。
 是非、パートさんやアルバイトも含めて、採用だけで考えるのではなく、自分の会社の中で、バリューチェーン(価値と連鎖)に落とし込んで、何が不足しているのか、見直していただきたい。でなければ採用は向上しませんし、改善もされません。

 このセミナーでは、次の内容を人材採用のポイントを押さえ、お話しをさせていただきました。

 セミナーの 主な内容 
  1.人材採用の最新動向 
  2.採用状況・マーケットは明確に変化している  

  3.採用が経営のリスクになっている        
  4.面接テクニックから採用企画力重視へ    
  5.知名度の低い中小企業へ候補者を惹きつけるには  
  6.新卒採用も流れが変わって来ている
  7.求人票の法的留意点


 今回ご参加いただきました方にはセミナーでご説明いたしました、人材採用のポイントを押さえて、知恵とアイデアと熱意とで必ず成功につなげていただければと思います。

 セミナーの内容等について不明な点がありましたら、質問書をFAX又はメールでお送りいただき、お気軽にご相談ください。
  


Posted by akroum at 11:46Comments(0)セミナー

2016年10月24日

勘違いな俺様社員

 A社では毎年5名程度の新卒社員を採用しているのですが、今年の採用は順調だったようです。
 しかも、ひとりは誰でも知っている有名大学を卒業していますから、近年にはなかったことと、社長も大いに期待するところがありました。
 それがB君です。上司となる課長は、社長から「よろしく頼む」との声をかけられており、これには課長も「大事に育てないと」と気を引き締めた経緯があったということです。

 今年の新入社員に対する期待は大きく、中でもB君はその前評判から期待されていました。
 ところが、当のB君の気持ちはだいぶ違っていたようです。B君は自分がA社に入社すること自体、納得いっていないところがあったのです。というのも、志望の会社にことごとく落ちた結果A社への就職だったからです。一流大学卒というプライドもありますから、「何で俺が」という気持ちが入社後もあったようなのです。


 ですから、B君としては同期をどこか見下しているところがあったようです。
 研修中もなにかとリーダーシップを取りたがり、意見が分かれた際には、自分の意見をどこまでも押し通そうとします。最後には「どうしてこの論理が分からないんだ」と言わんばかりだったそうです。 
 しかしながら、そうした姿は先輩社員にはむしろ頼もしく映っていたようです。

 やがて、「俺がいちばんできる」という態度が先輩社員たちへも顕在化し出し、それを課長の「大事に育てないと」の思いから多少のことには目をつぶってきたやり方が助長したのかも知れません。
 先輩社員にやたらと食ってかかるようになり、たしなめようものなら、不機嫌さを隠そうともしなくなったそうです。

 段々とB君が周囲から浮いた存在となっていく中で、新人も重要な仕事の一部を任せられるようになってきました。
 既存顧客に向けた新商品促販キャンペーンが進行する中で、B君が任されたのは新商品の概要を2枚の書類にまとめることと、数十件に及ぶ先方担当者とのアポ取りでした。
 課長自ら指揮をとったのですが、どうにもB君の働きがはかばかしくないことは傍目にも分かりました。
概要の作成は訂正を求めても反応が悪く、やっと提出されたと思ったら、言ったところが直っていない。「何で俺がこんな仕事をしなくちゃいけない」と思っていたのかも知れません。

 肝心のアポ取りも進んでいないようで、事情をきいてみると、「先方がいつもいない」「伝言を頼んでも返信がない」などと、まるで自分は悪くない、責任は向こうにあると言わんばかりです。結局、B君の現時点での実態は、自分の実力を過信し、失敗は他人のせいにするばかりの勘違いな俺様社員でしかなかったのです。
 これを怒鳴る代わりに課長は、改めてこのキャンペーンの目的と重要性、そこで期待されるB君の役割を説明した上で、仕事の内容と日程をお互い確認したそうです。

 ところがそれでも、課長の目にはB君の仕事が進んでいるようには見えません。それでいて、同僚には偉そうに上から目線でアドバイスをしたりしているのです。
 社長からの「よろしく頼む」がブレーキとなっていましたが、さすがにもう我慢できませんでした。
 「人の世話は自分のケツをふけるようになってからにしろ」と課長の一喝が部屋中に響いたのでした。

 
 それからというもの、厳しくB君に指示を出していきます。
 課長のアポ取りはというと、B君にしたら、まさに神業だったに違いありません。自分が声を聞くこともできなかった相手との面会の約束を次々とまとめていきます。
 手本を示された後に自分でやってみると、今度は言葉遣いに事細かな注文がつきます。しかし、言われた通りにやってみると、不思議にアポ取りがうまくいきます。さすがにB君も考え込んでしまったようです。

 決定的だったのは、課長に同道しての得意先回りでした。誰もB君を見ようとはしません。
 商談の終わり際、「うちの期待の新人です。目をかけてやってください」と課長は深々と頭を下げたのです。
 会社への帰り、何かを決意したようにB君が声をかけてきましたが、その声は日頃からは想像できない、小さいものでした。
 「課長、すみませんでした」
 「どうしていいか分からなくなってきました」
 「お前はきっとできる人間だよ。ただ、自分の周りにいる人に敬意をはらわなければいい仕事はできないと思うぞ」
 その後のB君は同僚が戸惑うほどの変貌ぶりで、どんな仕事もバカにすることなく、周囲と協力しつつ最後までやろうとする気持ちが出てきました。その姿は何とも楽しそうだということです。

 自分の実力以上に自分を評価する度合いが、B君の場合は強過ぎたのかも知れません。
 しかしながら、そうした傾向は多かれ少なかれ、誰もがもっている性向なのだと思います。
 ですから、伝えるべきは時に厳しいやり方であっても伝えるのが、上司や先輩の責任でしょう。

  


Posted by akroum at 11:45Comments(0)人事・労務

2016年10月06日

「採用マーケティングセミナー」を開催します

採用マーケティングセミナー
人材採用(新卒・中途・女性活用)のポイント

空前の採用バブルの影響で「募集しても人が集まらない」など中小企業は採用の悩みが多いと思われます。そこで採用マーケティングにフォーカスして人材採用戦略を新卒・中途採用、パート・アルバイト採用に至るまでのポイントをわかりやくご説明いたします。
コストもかかり、企業の業績も左右する「人材の採用」ですが、過去の経験則のみに基づいた感覚的な判断で行われているのではないでしょうか?人材採用についての教育研修がほとんど行なわれることがないのが実情ではないかと思われます。
限られた時間の中で成功させるポイントをおさえてください。1社でも多くの方に人材採用に成功していただきたく、本セミナーを開催いたします。奮ってご参加ください。


1. 日 時   平成28年10月22日(土曜日)
                   午後1時30分~4時00分  

2. 会 場   天神ビル11階 第5会議室   福岡市中央区天神2-12-1  
          *地下鉄空港線「天神駅」下車、徒歩約3分 
 
3. 講 師   社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所 
                   代表社員 社労士 大澤 彰

         平成7年の社労士開業以来、採用サポートおよび人事・賃金・労務問題
         の解決を中心に活動し、時代の変化、企業規模の実態に即した人事・
         労務管理の在り方を創造して、クライアント企業の採用支援、人事・労務
         のご相談にお応えしています。

4. 主な内容 
  1.人材採用の最新動向 
  2.採用状況・マーケットは明確に変化している  
  3.採用が経営のリスクになっている        
  4.面接テクニックから採用企画力重視へ    
  5.知名度の低い中小企業へ候補者を惹きつけるには  
  6.新卒採用も流れが変わって来ている
  7.求人票の法的留意点


5. 定 員   20名(先着順・満員の場合のみご連絡します)

6. 受講料  5,000円

7.お問い合せ、お申し込みは TEL icon29 :092-715-7280(土日・祝日除く) 

                     Eメールicon30 :info@akasaka-office.jp まで。

   20名さま限定icon88


  


Posted by akroum at 08:52Comments(0)セミナー

2016年09月20日

社員採用の基準は何か

 「優秀な人材」が欲しいという経営者は多いのですが、そもそも、その基準とはいったい何なのでしょうか。
 その基準について、また、企業にとって採用活動がどんな意味をもつのかを考えてみたいと思います。

 A社は社員50名で日本茶に関連する事業を営む会社です。
 元々は日本茶の製造・販売をしていた会社だったのですが、徐々に取扱品目を増やしていきました。 
 事業拡大を行う中でA社長は海外にも目を向けました。欧米の健康志向を当て込んで、試しに日本茶を輸出してみたところ、これが大当たりしたのです。
 それからも徐々に海外での売上割合を増やしながら、今に至っています。

 順調に思えるA社ですが、採用の時期になると、A社長はいつもちょっとばかり気が重くなるのだそうです。というのも、A社は新卒採用を毎年行っていますが、ここ数年は、正直言って期待外れの結果となっているからです。
 特に海外に活路を求めてからというもの、語学に通じた人材の採用に力を入れてきたのですが、思ったような働きをしてくれなかったり、1、2年で早々に退社していったりというケースがほとんどだったそうです。
 ですから、A社長は採用時期の前になると、「さて、今年はどんな方針で」と考え込んでしまうのでした。
 しかし、いくら考えてみても、いつも考えが落ち着くところは一緒です。つまり、「とにかく、優秀な人材がほしい」というものだったのです。

 始まった採用面接。面接は3回に分けて行いました。
 1回目の面接には語学に堪能な学生が多く集まりました。募集要項に「海外展開に力を入れています。あなたの語学力を存分に活かしてください」とアピールしているのだから当然でしょう。
 しかしながら、A社長は応募者と言葉を交わしてみて、確かに彼らの語学力は素晴らしいのだろうけど、なぜか自分がそれほど彼らに惹かれていないことを自覚したといいます。

 一通り面接を終えて、この気持ちは何なのかとA社長は考えました。それは、応募者から返ってくる言葉に対してまったく共感できないところに原因がありました。
 例えば、交わされたのはこんな会話です。
 「御社ではどんなスキルが身につけられますか」
 「うちは海外とのやり取りが多いので、主に英語を使ったメールのやり取りは日常的ですし、海外出張もあります。そこでは英語での交渉も学べるだろうし、ビジネスでの生きた英語を身につけられると思います」

 こうしたやり取りに応募者は納得顔をするのですが、それがどうにもA社長にはしっくりこないのです。
 スキルを向上させて、自分の能力を存分に発揮したいとの気持ちからの質問なのでしょうが、A社を踏み台にして、ステップアップしたいとの思いが透けています。A社長には入社試験のときから転職を考えているとしか思えませんでした。
 そこでA社長は、応募者とのやり取りがそうした方向に流れてしまう原因を突き詰めました。そして、A社長自身が「こんなことをやりたい」ということを、応募者に生で伝えていないからではないか、と思い至ったのです。
 つまり、「優秀な人材」を求めるあまり、応募者のアピールポイントからそれを会社のどこに役立てられるかを考えていたわけです。

 しかし、そうではなくて、私たちは「これがやりたい」ということを明確に彼らに提示して、彼らが共感してくれるか否かを見極め、その上で、彼らの能力を活かしてもらうよう促すべきだったと気付きました。
 
 以降の面接からはA社長はまず経営理念を語ったのです。
 これを前面に押し出したうえで、各人と言葉を交わしました。
 すると、応募者の反応の変化はてきめんでした。相変わらず、一方的にどんなスキルをと訊いてくる者もいましたが、A社長の思いを受けて、そこでなら自分は頑張れると決意を露わにする者もいたのです。
 面接を通してA社長が採用を決めた者は、いずれもA社の理念に共感してくれたとA社長が思えた人たちでした。
 そして、入社してしばらく経ってみて、A社長は今回の採用方針が間違っていなかったことを実感したそうです。
 
 一連の採用活動とその後の経過を追ってみると、A社長はつくづく「優秀な人材」ということを考えさせられたといいます。つまり、世間の基準の「優秀」とA社にとっての「優秀」は違うということです。
 どんなに語学に堪能でも、どんなにITに関する知識が豊富であっても、それが即、会社にとって「優秀な人材」ということにはなりません。

 なぜなら、会社の個性はそれぞれに違っているからです。なぜ個性が出てくるかを考えてみると、それは会社によって実現したいビジョンが違うからに他なりません。
 新たに社員を採用するというのは、そのビジョンを一緒に実現するのに力を貸してくれる人を雇うということです。
 ですから、どんなに世間一般の基準で「優秀」であっても、会社のビジョンを共有できない人は、その会社にとって「優秀」とは言えないのではないでしょうか。
 今一度、ご自分の会社にとっての「優秀」を見直してみてはいかがでしょう。    

  


Posted by akroum at 10:01Comments(0)採用サポート

2016年08月22日

長期的に取り組むべき中堅社員育成

 A社は、大手機械メーカーに勤めていたA社長が脱サラして始めた会社です。
 サラリーマン時代はエンジニアとして、社内システムの開発に従事していました。
 その仕事自体に不満はなかったのですが、勤めていた会社が組織として大きく、しかも縦割りであったため、開発した新システムの導入までに膨大な時間がかかることに大きなストレスを感じていたそうです。
 社内の根回し等を省き、開発に集中したいとの思いが募り、独立を決意し、同じ部署の若手技術者2人と共に、A社長は起業したのです。

 そして創業から10年が経ち、3人でスタートしたA社も7人のエンジニアを抱えるまでになりました。
 堅実な経営により、少しずつ成長を遂げてきたA社にも、創業当時から変わらないものもあります。それが組織のあり方です。
 そもそもA社長の起業動機の一つには、「脱・縦割り」のフラットな組織づくりがありました。ですから今も、A社長をトップに7人のエンジニアが横並びで、営業からシステム検証までをA社長一人で受け持つ体制になっています。


 順調に見えたA社の業績も、ライバル会社との価格競争も激しくなり、A社長も一人ですべてを受け持つ体制に限界を感じるようになってきたといいます。
 といって、エンジニアにはシステム開発に集中してもらいたいという気持ちは変わりません。
 ですから、A社長にとって必要だったのは、戦略を実行に移し、営業を助けながら、社内への目配りまでしてくれる「右腕」の存在でした。A社長は新規雇用に踏み切ったのです。

 早速、「幹部候補募集」の求人広告を出したところ、30通を超える履歴書・職務経歴書が送られてきたそうです。高い報酬も効いたのでしょう。
 そのどれもが高学歴であり、大企業出身者も少なくありませんでした。
 A社長は慎重に面接を行い、金融系企業にいたC君を採用することにしました。32歳という働き盛りで、人柄もよく、頭の回転も速い人物であったそうです。

 A社長は、早速、新幹部のC君を得意先回りに同行させました。「慣れてくれば顧客の半分を彼に任せられるはず」と、C君に期待するところは大きかったそうです。
 ところが入社からわずか3ヵ月後、C君が辞表を提出したのです。
 その理由は、「業務が広範囲すぎて今の自分の力では対応することができない」というものでした。
 面接でもそのことは十分に説明したのですが、「実際にやってみると想像していたのとまったく違った」というのがC君の言い分です。


 A社長は、今回の新規採用は時期尚早だったと自分に結論付けたといいます。「まだ会社が発展途上の段階で、外部から優秀な人材を採用することなど無理があった」と納得しようとしたのです。
 またこれまで通り、しばらくは自分一人で頑張ろうと思うと同時に、心の内で会社の行く末を案じる気持ちが膨らんでいくことをA社長は打ち消すことができなかったといいます。

 振り返ってみると、A社長は、エンジニアとしての仕事に集中させたいとの思いに固執するあまり、いつの間にか自分の会社の体制が硬直化してしまっていたことに気づいていなかったといいます。

 エンジニアがシステム開発に集中することのメリットを維持するためにも、やはり組織を変える必要がありそうです。そして A社において組織を変えるとは、C君の一件を考慮すると、内部の「人材育成」に他ならないとA社長は確信したそうです。
 そしてまた、社員に新たな役割を求めるなら、会社が社員に対して「求める人材像」を明確にした上で、それを実現するための体制を提供する必要があるというのが、A社長が得た教訓でした。


 A社の場合、外部からの採用がうまくいかず、内部の人材育成が適した企業風土だったと言えます。これはケース・バイ・ケースですから、その逆の場合も当然ありますが、重要なのは、まず自社が必要としている人材像を明確にすることだと考えます。
 闇雲に「いい人材がほしい」と言ったところで、漠然としたいい人材など存在しないからです。
 そして、そうした人材を育成したいと考えるなら、会社は社員の自覚に任せるのでなく、社員が自分に求められている役割を明確に認識することができる場を提供すべきではないでしょうか。

 なぜなら、次の世代のリーダーたることと下の世代のお手本たることを同時に求められる中堅社員には、多くの役割が期待されるからです
 そのような状況下、中堅社員に明確な役割認識を与えることは、会社の将来の方向性を決定付ける大切な作業であると考えます。

  


Posted by akroum at 09:42Comments(0)経営

2016年08月12日

慰労会~2016年、夏~

今年の夏は、とんでもない猛暑icon01ですね
あと1ヶ月以上もこんな日が続くと思うと
うんざりします・・・face07

そんな中、
今年も夏の恒例行事の季節がやってきました。

近年はビアガーデンに行くことが多かったのですが
なにせ今年は暑いし。
室内で涼しくお肉をいただくのはどうでしょうicon194
ってことで
今年は大名にある、焼き肉屋さん
HACHI HACHI赤坂店にしました~icon67

冷たいビールicon142と美味しいお肉、
もう最高っっっ
夏との相性抜群icon100ですね

例年より、おしゃべりの時間が少なかったような・・・
みんな、お肉が大好きなんですね(笑)

今回は、珍しくカラオケにも行きましたicon64
みんな意外と(?)歌がお上手。
大いに盛り上がって、楽しい時間を過ごしました。
あ~のどが痛い痛いicon196

お肉も食べて、楽しい時間を過ごしたことだし
この暑い夏を乗り切ってみせるゾicon12

  


Posted by akroum at 16:59Comments(0)スタッフ日記

2016年07月20日

賞与をどのように決定するか


 ボーナスと聞くと、その支給日もさることながら、どうやって支給額が決まるのかという点にも関心が集まります。「この夏は会社の業績が良いから、ボーナスは増えそうだ」「仕事を頑張ったから、ボーナスは期待できそうだ」と話している人もいる一方、「欠勤が多かったから、ボーナスはどうなるのだろう」、「新入社員だから、ボーナスは無理かな」、「育児休業中だけど、貰えるのかな」と心配している人もいるでしょう。

 賞与の起源を探っていくと、江戸時代の商家における慣例まで遡ります。賞与制度は明治時代に一部の企業で業績や勤続を評価する形での賞与支給が始まり、大正時代に入って次第に広がりましたが、昭和時代でも戦前には一部の企業にとどまっていました。
 本格的に普及したのは戦後のことです。戦後の厳しい経済状況下で生活補給金、インフレ手当、越冬一時金などという名目で臨時給与を支給しましたが、経済の安定とともにその名称、意義を代えて今日に至っています。
 さらに企業間競争が激化し、実力主義賃金への必要性が高まるにつれ、賞与の成果配分に実力と実績を強く反映させる傾向が出てきました。こうした動きに直面して、賞与の成果配分とは何かを改めて確認し、その上で自社の賞与制度のコンセプトを明確にする必要があるのではないかと思います。


★賞与の性格
 賞与の性格分類を支払う側(企業)ともらう側(従業員)とで分けて考えてみます。
 (1)企業の立場からみた賞与の性格付けは5つあります。
  ①社会慣例的性格  ②賃金後払的性格 
  ③利益配分的性格  ④労働意欲刺激的性格 
 
 ⑤人件費調節機能的性格

 (2)一方、従業員の立場からみた賞与の性格は3つあり
   ます。
  ①世間相場 ②生計費の赤字補填
  ③会社業績への貢献

 (3)対応する賞与の性格 
  ①社会慣例的性格  →  ①世間相場
  ②賃金後払的性格  →  ②生計費の赤字補填
  ③利益分配的性格  →  ③会社業績への貢献

  企業の立場からみた賞与の性格のうち、労働意欲刺激的性格、人件費調節機能的性格 は企業が強く打ち出すと従業員から反発を受けるおそれがあります。

★法律的には
 毎月の月額給与については、労働基準法で最低賃金や毎月払い、直接払い、残業の計算方法など、いろんな取り決めがありますが賞与に関しては、全くその定めはありません。
一般的に夏(7月か8月)と冬(12月)に支給している企業が多いですが、最近は自社の決算にあわせて支給する決算賞与や3ヶ月ごとに業績に連動して支給する賞与などを取り入れる企業も増えてきています。
 つまり、賞与は会社がその支給方法から支給時期、金額などを自由に決めることができるのです。
 すでに就業規則や雇用契約書に賞与の支給を約束しているとそのルールに従わなければなりませんがそれ以外は会社の裁量がかなり認められるのです。


★賞与は何のために出すか
 賞与の考え方は会社によって様々ですが、一般的には次のような考え方をしている企業が多いようです。

・賃金の一部(賃金の後払い)
 限りなく月額給与に近い考え方です。過去においては生活に必要な生活給的に考えている企業も多かったようですが、最近は徐々にこの考え方は減ってきています。
 ただ、「正月の餅代に、月給の1か月分程度の賞与は出したい」といった考えの経営者も多く、夏冬1か月分賞与は固定で支給するというルールや暗黙値のある会社もあります。

・利益の分配
 もっとも一般的な考え方です。
 賞与は、会社の業績がよく、利益がでている時だけ、その利益を社員に還元するという考えです。

 赤字であれば、賞与0もあるということです。
 給与規程には、この原則を書いておくべきでしょう。

・将来への期待
 過去の努力や業績に対するだけでなく、将来に向かってがんばって欲しいという期待値をこめて賞与をだしているという感覚の経営者も多いようです。

★賞与原資はどのように決定するか
・会社の利益の一部

 もっとも原則的な考え方です。
 賞与は法律的に絶対にださなければならないものではありません。社員のモチベーションについては十分に配慮しなければなりませんが、赤字の企業が賞与をだすことは会社そのものの存続をを危うくさせることに繋がります。
 利益のどの程度を賞与にまわすかは、難しいところですが過去の支給水準や、業界の平均的な労働分配率を参考にすると、ひとつの目安になります。

・月額給与の〇か月分を原則に
 企業側からすれば、「利益の一部」とするほうが合理的なのですが社員の立場からすれば、やはり基本給の○か月分、などがわかりやすいものです。

 この2つの要素を見ながら、自社の今後の資金計画なども考え賞与の総額原資を決定すべきでしょう。

★賞与決定の具体的要素
 賞与を決定する要素は、昇格や昇給決定の要素よりも思い切った特徴をだすことができます。
 主なものとして、次の要素を上げることができます。
●業績・成果
 もっとも、賞与の決定要素に適しているものだと言えるでしょう。
 業績・成果であっても、会社業績なのか、部門業績なのか、個人業績なのかによって、違ったメッセージになります。
●発揮能力・仕事のプロセス
 成果を具体的に評価しにくい職種などでは、こちらがメインの要素になることが多いでしょう。
●勤務態度・勤怠など
 もっとも基本的な要素ですが、差をつけるのが難しいという面もあります。
 初級等級の社員の賞与要素としては適しています
●勤続年数、年齢
 属人的な要素になります。

 以上のような、要素を組みあせて、最終的な賞与支給額を決定します。

 最近、人事ではあらゆることに「意味づけ・ストーリー」をもたせることが重要だと言われるようになってきました。
 
賞与を支給するにしても、ただ「がんばったから」、「業績がよかったから」という漠然としたものでなく、「あなたの〇〇に対して賞与を支給します」ということを、明確にしておくことが会社からのメッセージとなり、本人のモチベーションにつながるでしょう。

  


Posted by akroum at 09:23Comments(0)人事・労務

2016年06月20日

学生の心に響く採用活動とは

 今、採用市場は加熱の一途をたどっています。特に、2017年度の新卒採用は、選考期間の短縮が向かい風となり、多くの企業が学生の内定辞退に悩まされたのではないかと思います。

 A社は従業員約70名、中堅の機械メーカーとして知られています。
A社はコンスタントに売上を上げていましたから、経営自体は順調といっていい水準にありました。しかし、A社長には年間を通していつも一つの悩みが頭の片隅にあったそうです。それは、新卒の採用が思うようにいかないということでした。

 一般的な手順は踏んで、採用活動を行っていますが、それで結局、入社してくるのは2~3名という結果だったそうです。

 そうした状況を憂いつつ、商談のために訪れた会社からの帰り際、受付に置いてあった会社案内がA社長の目に留まり、何気なくそれを手に取ったそうです。
 帰りの車中、パラパラと冊子をめくっていくにつれてA社長の表情が徐々にこわばっていきます。
 最初のページは社長のあいさつ。そこには「多様化するマーケットをリードする……」とどこかで聞いたような、それでいて何も伝わってこないメッセージが付されています。
 次のページをめくってみると、イメージ写真を背景にして、事業部門の組織図が描かれています。その後は、これまでに成し遂げてきた会社の業績が商品と一緒に延々と羅列されているといった具合です。
 何の気なしに手に取った会社案内ではありましたが、これをめくり終えると、A社長は呆気に取られている自分に気がついたそうです。というのも、やっていることは違う会社なのに、A社の会社案内と基本的なつくりがまるっきり一緒だったからです。
                   

 地方の中小企業、限定された採用条件……、こんなことを新卒獲得が思うようにいかない理由と考えていましたが、「自社らしさが少しも学生に伝わっていないのが本当の原因
だったのではないか」とA社長が考えるようになったのは、このことがきっかけでした。
 そこでA社長は次からは、「本当のA社らしさをアピール」することを主眼に置いてやってみようと決心したというのです。
 それでA社長が正面から取り組まざるを得なかったのは、本当のA社らしさとは何なのか、という問いに答えることでした。
 これはA社長にとって、原点に返ることでもあったわけです。
このように考えると、これまでは曖昧に「良い人材」を求めていたことに気づいたといいます。求める人材像が曖昧だっただけに、アピールポイントも曖昧な万人受けするものになっていたのでしょう。
結果、それは誰の心にも届いていなかったのです。

 そうしてA社長が最初に取り組んだのは、会社案内のパンフレットを一新することでした。いちばん大きな変更点は、これまでのような成功業績の羅列をやめて、逆に製品開発の失敗事例を社員の目線から語った構成にしたという点でした。
 すなわち、ある製品を開発する過程でどのような失敗があったのか、そのときに社員はどのように考えどう行動したのか、そして社員はそうした体験を通じてどのような教訓を得て、次の仕事につなげていったのか、ということが社員自身の言葉で語られたわけです。

 さらに、会社説明会も本社でやることにしました。交通費を負担して交通の便の悪い場所まで来てもらうのは、やはりA社のモノづくりの現場を実際に見てもらいたいからでした。
 他人から見たらどうでもいいようなことに、こだわりをもってああでもないこうでもないと真剣に議論している社員の姿がA社長には頼もしかったし、そうした姿に共感してくれる人に入社してほしいとA社長は思ったのです。

 このような一連の改革を通して、A社の採用は目標の採用人数を確保することができたそうです。
 もちろん、新たな人材を想定した人数だけ獲得できたことは喜ばしく、その結果に満足していたのですが、同時にA社長にとって意義深かったのは、「そもそも私はなぜこの仕事をしているのか。そしてどんな活動を通して対価を得ているのか」と問い直す場所に立ち戻れたことだそうです。そのことで、採用を考えることは、会社の根本を振り返りながら、将来を考えるに等しいとA社長は考えるようになったといいます。

 
不思議なもので、そう認識すると、これまで採用にかかるお金は「コスト」であるとどこかで思っていたのが、はっきりと「投資」と位置づけられるようになったともA社長は言います。
  


Posted by akroum at 09:35Comments(0)採用サポート

2016年05月20日

平成28年度「年度更新」のポイント

 労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を合わせて労働保険といいます。法人であるか否かを問わず該当する労働者を一人でも使用する事業主は、原則として労働保険に加入する義務があります。

 労働保険は、適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」といいます。)が成立します。
 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名または名称および住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長に届け出なければなりません。これが「保険関係成立届」です。

 雇用保険は、被保険者となる労働者の1カ月あたりの就労日数や1週間における所定労働時間数により、加入要件が異なります。このため、労災保険は事業場として加入し、すべての労働者がその対象となるのに対し、雇用保険は労働者ごとに加入手続きをとります。

年度更新とは
 労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっております。

 労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付(労働保険徴収法第15条)し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算(労働保険徴収法第19条)するという方法をとっています。
 したがって、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。
 これが「年度更新」の手続きです。
 この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。
 手続きが遅れると、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課すことがあります。


年度更新手続上の留意点
 年度更新において納付する労働保険料の算定については、その事業で使用されるすべての労働者に支払った賃金総額に、その事業に応じて定められた保険料率を乗じて算定し、一般拠出金の額については、賃金総額に一般拠出金率(1000分の0.02)を乗じて算定を行い、申告・納付します。

賃金総額の適正な把握
 労働保険料等は、その事業に使用されるすべての労働者に支払った賃金の総額に、その事業に定められた保険料率・一般拠出金率を乗じて算定します。そのため、この賃金総額を正確に把握しておくことが必要です。

  「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者をいいます。
 ただし、その事業に使用される労働者のうち、雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」(その保険年度の初日において満64歳以上の者)や雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金がある場合には、労災保険に係る保険料と雇用保険に係る保険料とを区別して、それぞれ算定したものの合計が労働保険料となります。

 「賃金」とは、賃金、給与、手当、賞与など名称の如何を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいい、一般的には労働協約、就業規則、労働契約などにより、その支払いが事業主に義務づけられているものです。

保険料
 労災保険は、全額事業主が保険料を負担します。保険料は、実際に支払った賃金総額に保険率を掛けて算出します。保険率は、業種によって異なり、労働災害発生率が高く重篤な業種ほど高くなります。災害発生状況等により保険料を増減するメリット制もあります。

費用徴収
 労働保険の手続きをする前や保険料を滞納している期間中に労働災害が発生した場合には、労災保険給付額の40%から100%の範囲で費用徴収が行われることがあります。

平成28年度「年度更新」のポイント
●雇用保険料率は「引下げ」
 この保険料とは「労災保険料」と「雇用保険料」ですが、保険料算出に使用する保険料率が、労災保険料率は前年度から変更ないものの、雇用保険料率は引き下げられ、一般の事業1000分の11(前年度1000分の13.5)、農林水産・清酒製造の事業1000分の13(前年度1000分の15.5)、建設の事業1000分の14(前年度1000分の16.5)となっています。

●手続きに必要な様式等の入手方法
 必要な様式やツール等は、厚生労働省のホームページに随時アップされます。
 今年度は、申告書の送付は5月末からスタートし、提出は6月1日から7月11日までの間に行いますが、事前に準備できるものは早めに取り掛かっておきましょう。

●「法人番号」の記載が必要に

 申告書の様式が変更され、「法人番号欄」」が追加されています。
 法人番号とは、国税庁から通知された13桁の番号で、この番号を記入します(1法人につき1つ割り当てられるので、支店や事業所においても同じ番号を記入します)。個人事業主の行う事業については、法人番号欄の13桁すべてに「0」を記入します。

建設の事業は消費税の取扱いに注意
 建設の事業で労務費率により保険料の算定基礎となる賃金総額を算出する場合、前年度中に終了した事業については、事業の開始時期により消費税率等に係る暫定措置の適用の有無が異なります。